
BMWに乗っていて、ふとリアを見たときに「リアフォグ、片側しか点いていないけど壊れているのでは?」そう感じた経験がある人は少なくありません。
実はこれ、BMWでは極めて正常な仕様です。しかも理由は「コスト削減」でも「設計ミス」でもありません。
背後にあるのは、ヨーロッパ車らしい事故対策と灯火に対する思想です。
BMWのリアフォグが片側だけ点灯する理由を軸に、車種別の設定、両側点灯モデルの有無、車検や後付け改造の扱い、そして歴史的背景までを一気通貫で整理します。
リアフォグランプとは何のための装備なのか
リアフォグランプは、霧・豪雨・吹雪などで視界が極端に悪化した状況下で、後続車に「そこに車が存在している」ことを強烈に伝えるための灯火です。
ブレーキランプよりも明るく、夜間では眩しすぎるほどの光量を持っています。
そのため、常時使う前提ではなく、必要なときだけ使う“非常灯”に近い存在です。
ここで重要なのは、リアフォグは「目立たせる」ための装備であって、「左右対称に光らせて美しく見せる」ための装備ではない、という点です。
BMWのリアフォグが片側だけな最大の理由
結論から言うと、最大の理由はブレーキランプとの誤認防止です。
リアフォグを両側で強く点灯させると、特に霧の中や夜間では「ブレーキを踏んでいる」と誤解されやすくなります。
ヨーロッパではこれが追突事故の原因になってきました。
そこでBMWを含む欧州メーカーは、「異常に明るい赤い灯りが一つだけ見える」状態を意図的に作ります。これにより、後続車は瞬時に「通常の灯火ではない」「注意が必要な車だ」と認識できます。
片側だけというのは、デザイン上の癖ではなく、視認性と誤解防止を両立させるための答えなのです。
なぜ左側に配置されることが多いのか
BMWのリアフォグは、日本仕様でも左側に点灯するケースが大半です。
これは右ハンドル車なのに不自然に感じるポイントですが、理由は明確です。
BMWはグローバル設計を基本とし、左ハンドル圏を基準に灯火配置を決めています。
そのため「車両外側(路肩側)」にリアフォグを置くという思想が貫かれています。
路肩側にあることで、後続車が距離感を掴みやすく、中央寄りのブレーキランプとも混同されにくくなります。日本専用に左右を入れ替えることは、ほぼ行われません。
BMWに両側リアフォグは存在するのか
答えは「存在する。ただし条件付き」です。
テールランプの構造が進化し、ブレーキ灯・スモール灯・リアフォグを明確に分離できるようになった世代では、両側点灯が採用されることがあります。
特にフラッグシップモデルや新世代車両では、片側思想に固執せず、安全性が担保できるなら両側も認める、という柔軟な姿勢が見られます。
BMW車種別 リアフォグ設定の傾向
| 車系統 | 世代 | リアフォグ傾向 |
|---|---|---|
| 3シリーズ | E36 / E46 / E90 / F30前期 | 片側点灯が基本 |
| 3シリーズ | G20 | グレードにより両側あり |
| 5シリーズ | E39 / E60 | 片側点灯が主流 |
| 5シリーズ | F10 / G30 | 両側点灯モデルあり |
| 7シリーズ | F01以降 | 両側点灯が一般的 |
| Xシリーズ | 初期世代 | 片側点灯が多い |
| Xシリーズ | 新世代 | 両側点灯あり |
車検での扱いと点灯条件
リアフォグが片側しか点灯しなくても、車検上の問題はありません。
日本の保安基準では、リアフォグの左右対称性は求められていないからです。
取扱説明書に記載された仕様通りであれば、「正常な灯火」として扱われます。
BMWでは誤点灯を防ぐため、フロントフォグやスモールランプが点灯していないとリアフォグが作動しない多段階構造が採用されています。
これは「本当に必要な場面だけ使わせる」ための思想です。
後付けで両側点灯にするのはアリなのか
技術的には可能です。配線追加やコーディング、社外テールランプへの交換で実現できます。
ただし、BMWの設計思想という観点ではおすすめしづらいのが本音です。
特に片側前提で設計された世代では、ブレーキ灯との誤認リスクが高まります。
車検に通るかどうかは地域や検査官判断に左右されるため、「確実に問題ない」とは言い切れません。
なぜ日本では違和感を覚えやすいのか
日本では霧中走行の頻度が低く、リアフォグを日常的に使う文化がありません。
そのため「左右点灯していない=異常」という感覚が根付いています。
一方、ヨーロッパではリアフォグは命に直結する装備です。
BMWはその文化と事故統計を前提に、今も灯火設計を続けています。
よくある質問(FAQ)
リアフォグが片側しか点かないのは故障ですか?
故障ではありません。多くのBMWでは意図的な仕様です。
車検で指摘されることはありますか?
取扱説明書通りであれば、指摘されることはほぼありません。
なぜダミーのレンズが付いているのですか?
左右共通テールを使い、仕様差は内部配線で管理しているためです。
両側点灯に改造すると違反になりますか?
必ずしも違反ではありませんが、検査官判断になるケースがあります。
まとめ
BMWのリアフォグが片側だけ点灯するのは、長年積み重ねられてきた安全思想の結果です。
ブレーキランプとの誤認を避け、霧中で確実に存在を知らせるための選択です。
新世代モデルでは両側点灯も増えていますが、それは設計技術の進化によって安全性を担保できるようになったからこそ。
「片側しか点かないBMW」を見ても、もう不安になる必要はありません。
それは、BMWが本気で事故を減らそうとしてきた証でもあります。

