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BMWとメルセデス電動化戦略の比較と今後

BMW総合情報
BMファン君
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BMWメルセデス電動化戦略について、現状の比較と優位性、2030年までの動向を解説します。

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BMWの電動化戦略の概要

  • BMW は「Neue Klasse(ニュー・クラス)」という新世代 BEV アーキテクチャを中心に、電動化の主軸を据えています。
  • この Neue Klasseは、ソフトウェア(ITアーキテクチャ)、電動ドライブ(eドライブ)、バッテリー技術、そしてライフサイクルを通じた持続可能性を統合する設計。
  • BMW の公表では、2030年時点で EV 販売比率を 「50%」 にする目標を掲げています。
    電池セル面では、CATL(中国)との大型契約があり、46 mm 円筒型セル(cylindrical cell)を Neue Klasse 向けに供給を受ける枠組み。
  • さらに、EVE Energy(中国)との協業の可能性も報じられており、ハンガリー・デブレツェン(Debrecen)に工場建設の話がある。

BMWの現状(強みと進捗)

  • Neue Klasse 車両の初期生産は、ハンガリー・デブレツェン工場、ドイツ・ミュンヘン工場、中国および他地域で予定されており、グローバルな生産体制を構築中。
  • BMW は、バッテリー工場を車両工場近辺に建設する方針を持っており、5か所程度を検討しているという報道があります。
  • 技術面では、第6 世代 eドライブ技術を導入。CATL の円筒セルを用いることで、エネルギー密度、充電速度、航続距離の飛躍的な改善を狙っている点が強調されている。
  • サステナビリティ(循環型バッテリー・ライフサイクル)にも重きを置いている。BMW のプレス資料で、ライフサイクル全体での持続可能性を設計の中心に据えていることが示されている。

BMWの問題点・リスク

  • サプライチェーン依存:CATL との契約は強力ですが、中国企業依存のリスクがあります。
    Northvolt との契約問題:BMW は北欧のセルメーカー Northvolt への約 20 億ユーロ規模の発注を取りやめたと報じられており、双方で「次世代電池開発」に注力する合意がなされているものの、供給不透明さは懸念材料。
  • 大規模投資の資本コスト:Neue Klasse やバッテリー工場建設には巨額投資が必要で、回収リスク(需要の変動、コスト上昇)が常に存在する。
  • 技術リスク:新しい円筒セルと eドライブ技術の性能・信頼性を量産で確保する必要がある。失敗リスクが高い。
  • 環境/規制リスク:バッテリー原材料(ニッケル、コバルトなど)の価格変動やサプライチェーンの炭素強度が、持続可能性の目標に影響する。

BMWの今後の方向性・戦略

  • 垂直統合とローカル化:車両とバッテリー工場を近接させ、「local-for-local(地産地消)」戦略を強める可能性が高い。実際、車両工場近辺に電池工場を複数建設する計画が報じられている。
  • サプライヤー多様化:CATL だけでなく EVE Energy など複数のセルメーカーを使うことでリスク分散。
  • 技術革新の継続:第6世代 eドライブ、高効率セル、ソフトウェア最適化を通じて競争力を維持。
  • 循環経済の強化:バッテリーの再利用・リサイクルを進め、ライフサイクル全体でのCO₂削減を追求。
  • 販売戦略との整合性:Neue Klasse ベース車を中心に、EV をブランドの主力に据えつつ、顧客の受容性や地域特性を見ながら段階的な展開。
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メルセデス(Mercedes-Benz)の電動化戦略の概要

  • メルセデスはかねてより電動化(electric drive)を戦略の中核に位置づけ、EV 用の専用アーキテクチャ(プラットフォーム)を複数持つ。
  • 2022〜2030年に EV やプラグイン・ハイブリッド(PHEV)への投資を大幅に増やしており、一部報道では 400 億ユーロ規模の投資が示されていた。
  • 環境目標として、2030年までに製品ライフサイクル全体での CO₂ 排出を 「50%以上削減」する計画を掲げている。
  • パワートレイン戦略では、電動部品(モーター、バッテリー、電装品)の生産をグローバルで再構築。特に中国、ドイツ、ルーマニアなど生産拠点を活用。
  • 新アーキテクチャとして、「EVA」(既存高級EV用)、「MMA」(小型)、「MB.EA」(ミディアム/ラージ)、パフォーマンス用「AMG.EA」、商用車用「VAN.EA」などを展開。

メルセデスの現状(強みと進捗)

  • メルセデスは EV 専用プラットフォームを積極展開しており、新型車(2025年以降)はこれら EV アーキテクチャをベースに設計される。
  • 生産/サプライ体制を強化中。電動用パワートレイン部品の生産を各地域で再配置し、グローバル戦略を掲げている。
    持続可能性では、EV による CO₂ 削減だけでなく、生産拠点自体も再生可能エネルギーへの
  • 依存を高める構想。
    しかし、最近報じられた内容として、EV への需要が予想よりも伸び悩んでおり、バッテリー計画の一部見直しをしている。
  • さらに、固定設備(工場など)の再エネルギー化の取り組みも見られ、工場のエネルギー投資を通じてサステナビリティを強化。
    加えて、メルセデスは工場におけるエネルギーの変動を吸収するため、11 MWh の大型バッテリー(有機ソリッドフロー電池)をテストする計画を発表。

メルセデスの問題点・リスク

  • 需要の不確実性:EV の需要が当初想定ほど伸びない可能性があり、それが投資回収を難しくする。
  • セル生産の過剰/過小投資リスク**:メルセデスは 2030 年に 200 GWh 以上のセル能力を想定したが、需要低迷を受けて供給計画を調整。
  • コスト競争:バッテリーコストの低減は進んでいるが、高級 EV で高マージンを維持しつつ、コストを抑えるバランスが難しい。
  • 技術リスク:複数プラットフォーム(EVA, MB.EA など)運用は設計コストと複雑性を増す。
  • サステナビリティ・サプライチェーンの懸念**:原材料の確保、リサイクル戦略、再生可能エネルギーの供給安定性など。

メルセデスの今後の方向性・戦略

  • 柔軟な電動化:メルセデスは「市場条件に応じて BEV/PHEV を使い分ける」戦略を継続。すべての地域・セグメントで一律に EV 化を急ぐのではなく、顧客の受容性やインフラ状況を見ながら最適化。
  • プラットフォーム・モジュール戦略:複数の EV 専用アーキテクチャを持つことで、車種別・地域別への柔軟な対応を実現。
  • バッテリー技術革新:エネルギー密度の向上、コスト削減、持続可能性を追求。加えて、製造拠点での大型蓄電池導入(例:工場内の有機ソリッドフロー電池)などを通じてエネルギー効率を高める。
  • デジタルとサービス収益:単なる車両販売だけでなく、ソフトウェア、コネクティビティ、サブスクモデルを通じた収益化を強化。
  • サステナビリティの深化:ライフサイクル全体で CO₂ 削減を進め、再生可能エネルギーの活用、廃バッテリーの再利用・リサイクルを加速。

電動化戦略の比較一覧(BMW vs メルセデス)

項目 BMW メルセデス
2025年まで BMWのEV販売台数は老舗メーカーとしては好調をキープ 世界的に、EV販売台数は低迷。コストダウンが目立つ点が原因か。
2025年以降 今後のEV戦略も強気の戦略に変更なし EV戦略も見直しが迫られ、減産戦略の傾向
戦略の核 Neue Klasse(世代刷新、統合アーキテクチャ) 複数 EV プラットフォーム+市場別柔軟戦略
技術 第6世代 eドライブ、円筒セル(46 mm)、高度ソフト EVA / MB.EA / AMG.EA など、多様アーキテクチャ。ソフト/UX重視
供給・調達リスク CATL主力、北欧(Northvolt)との契約見直し バッテリー工場計画見直し、需要読みの難しさ
投資・コスト 大規模設備投資(車/電池)+ローカル化 EV 優先の投資、収益性維持とのせめぎ合い
環境・持続可能性 ライフサイクル設計、バッテリー循環 CO?削減、再生可能エネルギー、新しい蓄電技術(工場内)
リスク 技術実装リスク、サプライチェーン依存、資本負荷 需要変動、過剰能力、プラットフォーム複雑性、コスト

BMWとメルセデスの電動化戦略の総論・考察:まとめ

現時点では、EV専用プラットフォームの開発でメルセデスが先行したものの、実販売では、EV/ICE兼用モデルのBMW側の販売好調という結果となっています。
世界的なEV低迷の流れをどう読み取り、生産と販売のバランスに繋げるかが、戦略の重要なポイントとなっています。2030年、2035年の世界的な電動化ルール強化も見直しが避けられないでしょう。

BMWはEVも好調を維持だが

2030年までに、電動化の達成率が、販売地域により異なる可能性が高くなった。内燃エンジン車との生産バランスの調整が迫られている状況です。BMWはEV販売も好調をキープしており、2030年までの計画が順調に進められるかがカギとなっています。

BMWは Neue Klasse による世代転換を通じて、「一度に根本から構造を変える」アプローチを取っており、その成功次第で中長期の EV プレーヤーとしての立ち位置が大きく強化される。一方で、サプライヤー(特にセル製造)への依存や製造コスト確保がカギ。

メルセデスはEV低迷で計画の見直しが迫られている

メルセデスはより分散的・段階的な戦略を取る。その柔軟性は、EV 市場の変動や地域差異に対応しやすいが、プラットフォームの複雑化や過剰設備のリスクもある。加えて収益性を守りつつ EV 化を進める難しさがある。

今後は、両社とも技術革新(バッテリー、ソフト)、サステナビリティ(循環経済、再エネ利用)、および市場戦略(地域・顧客戦略)が勝敗を分ける重要ファクターとなる。