BMWのデザインの象徴として、キドニーグリルに並ぶ特徴としては「ホフマイスター・キンク」があります。この概要や変遷を解説します。
ホフマイスター・キンクの概要
ホフマイスター・キンクの意味とは
BMW車の「Cピラー付け根の斜めに跳ね上げられたラインを指します。」
斜めに跳ね上げられたラインから、その上部は、天井に向けて弧を描く、または直線的かつ特徴的なデザインとなっています。1961年のBMW1500、BMW3200CSからの採用です。
最近のデザイン傾向
リヤドア後端から、Cピラーまでのラインに変化しているようです。部分的な斜めラインがより拡大し、BMWのホフマイスター・キンクのデザインとして、アイデンティティを強調するデザインとなっています。
ホフマイスター・キンクの歴史・変遷
- 当時のBMWデザインとして「Kunstlerische Gestaltung」を統括していたエクステリアデザイン統括責任者ヴィルヘルム・ ホフマイスター氏による発案。
- ホフマイスター氏により、1960年にデザインコンセプトが作成されました。
- 1961年のフランクフルトショー:BMW1500に採用 (BMW 3200CSも同時期)
以前からBMWのデザインとして特徴的であったキドニーグリルと合わせて、BMWデザインコンセプトの一環として、BMW伝統のアイコニック・デザイン(象徴的なデザイン)である『ホフマイスターキンク』となります。
これがリアの見え方を引き締めており、全体的に流れるデザインを作り上げています。
FRの後輪駆動、スポーティなスタイリングを両立させるデザイントレンドとなっています。
ホフマイスター・キンクの命名由来
- ヴィルヘルム・「ホフマイスター」氏のデザインによるもの
- Cピラーの跳ね上げのデザインがポイント
- この跳ね上げを「捻じれ(ねじれ)」を英語では「キンク(kink)」と呼びます
- 「ホフマイスター」「キンク」が合わさり、「ホフマイスター・キンク」となりました
ヴィルヘルム・ホフマイスター氏とは
BMWのデザインチーフを務めていた方です。正式には、元BMWボディ・エンジニアリング&デベロップメントのディレクターが名称になります。(1955年~1970年)
このデザインコンセプト自体は、1940年代から欧米車に採用されていた事例がありますが、BMWは、それをブランドのデザインコンセプトとして継続的に採用したものになります。
BMW 1500モデルの特徴
ホフマイスター・キンクを初採用したモデルがBMW 1500です。さらにBMW 3200CSが続きます。
ニュークラス(ノイエクラッセNeue Klasse)とも呼ばれるBMWの新しい時代を切り開いたモデルであり、メカニズム的にも先進的でした。
- BMW初のSOHCのヘッドを採用したエンジン
- BMW初のマクファーソン・ストラット、リアはセミトレーリングアームのサスを採用
- BMW初のフロントディスクブレーキ
呼び方
- 英語:Hofmeister kink(ホフマイスター・キンク)
- ドイツ語:Hofmeister-Knick(ホフマイスター・ニック)
- BMWの社内では、通称名「ホフマイスター・エッケ」として「ECKE」コーナーを意味する呼び名があるそうです。
最新のホフマイスター・キンクのデザイン
絞り込みデザイン(2019)
E型、F型として、ホフマイスター・キンクのデザインは基本的な形状には大きく変化がみられませんでしたが、F4x型、G型の偶数番号モデルでは、上下ウィンドウが絞り込まれたデザインとなっています。2019年の2シリーズ(F44型)として、最新ホフマイスター・キンクのデザインです。今まで、角度が急激に上昇線を描いていたものが、後端に行くに従って、かなり緩やかな傾斜となっています。後端は絞り込まれたウィンドウデザインとなり、よりシャープかつスポーティに見えるデザインとなっています。
モデル数字が埋め込まれたデザイン(2023)
5シリーズ(G60)型のデザインです。「5」の番号が埋め込まれたホフマイスター・キンクのデザインとなっています。
ホフマイスターキンクのデザインの未来
ヴィジョン・ノイエ・クラッセ:次期コンパクトセダンのコンセプトモデルでは、リアドア内で表現しています。