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BMW1500情報、ノイエクラッセの意味とは

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BMファン君
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BMW1500登場以降、モデルチェンジを経て、BMW1800よりメーカー広報としても「ノイエクラッセ」と呼ぶようになりました。BMWデザインやスポーツセダンの原型ともなり、他メーカーのベンチマークともなった歴史的モデルのスペックや歴史を解説します。

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BMW 1500モデル概要

製造期間は、1961~1972年、以降のBMWモデルの基礎・原型を作り上げ、スポーツセダンとしてのBMWイメージの確立に繋げたBMWとしても歴史的なモデルです。直系としては5シリーズの先祖とされるモデルです。

ノイエクラッセ誕生までの時代的な背景

第二次世界大戦はドイツの敗戦に終わり、BMW社は経済危機的な状況を顧みず、高級化路線を推進しました。結果「501/502」などの高級サルーンを次々と送り出して、販売的にも失敗となりました。
さらに、追加で投入した高級スポーツカー「503/507」も営業的に失敗に終わります。
BMW社の経営状況は悪化し、破綻の直前まで追い込まれており、西ドイツ政府によるダイムラー・ベンツ社との吸収合併計画も進められていたようです。BMW社は当時、財政的な危機状態にあったからです。1959年にヘルベルト・クヴァントを迎え入れたBMW社は、開発業務の中心を、すでに社内で検討されていた新しいモデル・シリーズに転換することになりました。
厳しい経営状況の中で、BMWイセッタ(1955-1959)のベースモデルは、イタリアのイソのライセンス生産により、販売も上向き、BMW経営状況も徐々に回復しました。後継としてのモデル「BMW700」も経営の回復に寄与したモデルです。(写真はBMW700)
高級車市場では、V型8気筒を搭載する501や507では、ライバル・メルセデスの優勢の状況が続きます。1960年、投資家のHerbertとHarald Quandtは、経営不振のBMW経営権を獲得。
当時の市場では小型・中型セダンが求められており、BMW1500の開発に着手し、1961年にフランクフルトで開催された国際モーターショーで披露されました。
1960~1970年の10年間で、販売台数は3倍、自動車部門の売上高は7倍以上を達成。

開発プロジェクト

  • プロジェクト総括:フリッツ・フィドラー
  • シャシーデザイン:エバーハルト・ウォルフ
  • スタイリング・ボディエンジニアリング:ヴィルヘルム・ホフマイスター
  • エンジン設計:アレックス・フォン・ファルケンハウゼン

ノイエクラッセの意味とは?

小・中型車へのニューモデルとして、BMWが社運をかけて開発し、投入したのがBMW1500です。
BMWのノイエ・クラッセとは、1961年のフランクフルトモーターショーで初公開された『1500』が原点とされる。ただし、1961年時点では、メーカー広報としても「ノイエクラッセ」を明言しておらず、1963年のBMW1800発売後、メーカー公式発言としては1964年より、ノイエ・クラッセ「ニュー・クラス」とのフレーズを利用した広報を行うようになりました。

ノイエクラッセの社内呼称

BMW社内において「ノイエクラッセ」と呼ばれたネーミングの意味とは、第二次世界大戦後に作っていたどの車種とも異なる新しいコンセプトによる設計内容に由来します。

  • ノイエ・クラッセ(ドイツ語:Neue Klasse )
  • 新しいクラス(英語:New Class)

新世代の小型・中型車としてのBMWのみならず、他メーカーにも影響を与えたベンチマークとなる先進機能と装備を備えた内容でした。

BMW1500の特徴

ライバルを凌駕する性能の数々

  • 当時としても先端の高剛性モノコックボディ
  • SOHCのエンジンヘッド(当時の小型車クラスは、OHVが主流)
  • フロント:マクファーソン・ストラットのサスペンション
  • リア:セミトレーリングアームのサスペンション
  • 全車フロントディスクブレーキ
  • BMWデザインコンセプトの確立(BMWマーク、キドニーグリル、ホフマイスターキンク)
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歴史(変遷)

BMW1500としての歴史

  • 1961年9月:フランクフルトモーターショーでBMW1500発表
  • 1962年10月:正規生産を開始
  • 1964年12月:製造を終了。全生産台数:23,554台

BMW1500の特徴

エンジニアでレーシングドライバーの「アレキサンダー フォン ファルケンハウゼン」により、エンジンの拡大を見据えた設計を実施。当初、1.3リッターのエンジン開発を依頼、1.5/1.8/2.0リッターと後継モデルとして拡大を実施していく。

BMW1600の歴史

1964年には1500の後継モデルとして「1600」が登場

BMW1800の歴史

1962年2月から1972年1月の間、1800セダンなどのシリーズモデルは合計33万9814台が生産。

  • 1963年:BMW1800登場。1.8L直列4気筒SOHCで、最高出力は90ps、最高速度は162km/h
  • 1964年:BMW1800IT登場。ソレックスのツインキャブレター装着した1800TI。TI(Touring Internationalの略)。ンは最高出力110psに向上。

BMW2000の歴史

  • 1965年:BMW2000C/2000CSの高級クーペモデルが追加
  • 1966年:BMW2000/2000TI登場。2L直列4気筒SOHCエンジン搭載。最高出力100psを発生。2000TI:ソレックス社製キャブレターで120ps。「TI(ツーリスモ・インテルナツィオナーレ/独でツーリング・インターナショナルの意)」
  • 1966年:派生モデル1600-2発表。以降、BMW2002シリーズに発展。後継3シリーズ(E21)へ受け継がれます。
  • 1967年:直列6気筒エンジンを搭載したBMW2500/2800が登場。後継7シリーズの先代モデル
  • 1969年:2000tii登場。クーゲルフィッシャー製(PL04型)の機械式燃料噴射装置(インジェクション)を採用。圧縮比10.0:1、130psパワー、18.1kgmトルク。最高速度は190km/h
  • 1972年:初代5シリーズ(E12)にバトンタッチします。
  • 1973年:2002ターボ登場。KKK製ターボチャージャーを組み合わせ170ps
    最高速度211km/h、0-400m加速15.3秒

ノイエクラッセとしてのメーカー貢献

BMW1500以降、BMWのスポーツと日常の使い勝手を際立たせた性能により、BMWのブランドイメージ向上に貢献しました。結果、販売台数と売上向上にも寄与し、1960年以降の10年間で、BMW車の販売台数は3倍となり、自動車売上収入は7倍超にも達したのです。
1962年2月から1972年1月にかけて、1800セダンなどのシリーズ・モデルは合計で339,814台も生産されました。

スペック

BMW1500スペック

ボディサイズ

  • ホイールベース:2,550mm
  • 全長:4,500mm
  • 全幅:1,650mm
  • 全高:1,420mm
  • 車両重量:1060kg

エンジン型式:M10(バージョンM115)

  • 排気量:1,499cc
  • ボアストローク:82mmx71mm
  • 圧縮比:8.0
  • SOHC
  • 吸排気バルブをクロスフローでレイアウト
  • 吸気:ソレックス製キャブレター
  • 馬力:80ps/5700rpm
  • トルク:118Nm/3000rpm
  • 0-100km加速:15秒

足回り

  • フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット式
  • リアサスペンション:セミ・トレーリングアーム式
  • フロントブレーキ:ロッキード製のディスクブレーキ

BMW1800スペック

  • BMW 1800(1963~1972年/英国仕様)
  • 英国価格:1498ポンド(1967年時)
  • 販売台数:13万4814台
  • 全長:4546mm
  • 全幅:1710mm
  • 全高:1448mm
  • 最高速度:161km/h
  • 0-97km/h加速:13.7秒
  • 燃費:8.9-12.4km/L
  • 車両重量:1098kg
  • エンジン:SOHC直列4気筒1773cc
  • 最高出力:91ps/5250rpm
  • 最大トルク:14.6kg-m/3000rpm
  • 変速装置:4速MT

BMW2000スペック

  • モデル:BMW 2000
  • エンジン: 縦置き直列4気筒OHC2バルブ
  • 燃調:ソレックス製ダウンドラフトキャブレター
  • 排気量: 1990cc
  • 出力: 100PS/5500rpm
  • 最大トルク: 157Nm/3000rpm
  • 0-100 km/h加速タイム: 13.0秒
  • 最高速度: 168km/h
  • 駆動方式: 後輪駆動、4速マニュアルトランスミッション
  • 全長/全幅/全高: 4500/1710/1450mm
  • 乾燥重量: 1,150kg
  • 新車価格(1966年当時): 11475マルク(約76万円)

BMW2002ターボスペック

  • モデル:2002ターボ
  • エンジン:縦置き直列4気筒OHC2バルブ
  • 排気量:1990cc
  • 圧縮比:6.9:1
  • 最高出力:172ps/5800rpm(NA比40psアップ)
  • 最大トルク:24.5g-m/4000rpm
  • 燃調:シェファー社製機械式燃料噴射
  • タービン:KKK(Kuhenel Kopp ünd Kaush社)製ターボチャージャー(シングル)
  • ミッション(後輪駆動):4速MT、5速もオプション
  • ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク/後ドラム
  • エアロ:フロントエアダムスポイラー(turboステッカー)
  • FRP製オーバーフェンダー(日本仕様のみ鈑金加工一体化スチール製)
  • 最高速度:211km/h
  • 0-400m加速:15.3秒
  • 0-97km/h加速:7.5秒
  • 燃費:6.9km/L(インパネ上、VDO社製のターボブースト計追加)
  • 生産台数:1672台(1974年:生産期間14ヵ月)
  • 英国価格:1万8720マルク(新車時)
  • 全長:4219mm
  • 全幅:1621mm
  • 全高:1410mm
  • 車両重量:1034kg

当時、日本の運輸省の対応

  • 当時、輸入元であるバルコムトレーディングに対して、運輸省は、2002の各種装備を許可せず、輸入を認める代わりに修正指導を実施。
  • リベット止めのオーバーフェンダーやリアスポイラーを外させ、パテ埋め対応させる
  • サンルーフは許可しない
  • その理由は、全て暴走族を連想させるから、だったようです。(なんともレベルの低い状況)

2023年に蘇った新世代ノイエクラッセとは

ビジョンノイエクラッセの登場時期は2025年
最新のデザイン・コンセプト「BMW Vision Neue Klasse(ビジョン・ノイエ・クラッセ)」の登場時期、次期モデルの反映、ボディサイズ、スペック(主要諸元)を解説します。