過去、DIYでバッテリー交換を行った方も多いと思います。
BMWでは、バッテリー交換後、車体に記憶されたバッテリー情報を初期化(リセット・コーディング)する必要があります。DIYでバッテリー交換時の注意点を解説します。
従来のバッテリー交換とは
バッテリーの端子を外し、新品バッテリーへのポン付けの付け替えのみでした。
DIY作業として特別な工具も必要なく、最低限のドライバーやペンチがあれば交換可能でしたが、最近の欧州車や国産車では、バッテリー交換も簡単ではなくなっています。
Exx型、Fxx型、Gxx型のバッテリー状況
バッテリー交換も上記の当該車種では、単なる交換では済まなくなりました。
車載の電子部品が多用される事となり、車載機器の電圧電流について、細かくコントロールを実施しています。
IBS(Intelligent Battery Sensor)
モデルコードE6x以降の車種では、IBS(Intelligent Battery Sensor/インテリジェント・バッテリー・センサー)が搭載され、各種バッテリーのマネージメント(情報管理と充電制御)を行っています。
IBSはバッテリーマイナス端子部に取り付けられ、電圧、温度、充電量、放電量を常にモニターし、始動時の電圧変化等の状態も検知や判定を行っています。
IBSはバッテリの充電状態を測定しており、測定情報をDMEに送信されます。
DME(車載コンピュータ側)ではこの情報を使用して車両の電力需要をサポートするために、オルタネータから必要とされる充電電圧の量を制御します。
バッテリーは、時間の経過による劣化だけでなく、電力使用量の過多や充電不足などの要因により、劣化スピードは変化します。
バッテリーが弱った車両
車載コンピュータでは、新品バッテリーの発電量から、エンジン充電中のバッテリー状況を発電量を監視しています。
バッテリーが弱くなった車両では、バッテリーからの電気が不足し、発電機からの充電と消費を並行しながら走行している状態となります。
バッテリーのみ新品にした場合
車載コンピュータでは、弱った状態のバッテリーをIBSで読み取り、DMEで記憶しています。
弱ったバッテリーに対して、充電を多く行うよう、充電コントロールを行います。
新品バッテリーにも関わらず、弱ったバッテリー向けの充電を行うと、過充電となる可能性があります。したがって、バッテリの交換時に、DMEに新しいバッテリーに交換を行ったことを車体側に通知しないと、旧バッテリー情報を元に、新しいバッテリが過充電されて消耗が早くなる可能性があります。
そのため、バッテリー新品済を車体に通知する必要がある
車体側の「バッテリー学習内容」をリセットし、「バッテリーが新品」であることを車両側の車載コンピュータ(DME/DDE)に通知する作業が必要となります。
具体的には、新しく接続されたバッテリーの情報を登録し直します。(皆さんがリセットと呼ぶ作業)
BMWではDMEと呼ぶ車側のECU(エンジン・コントロール・ユニット)に記録されているバッテリー情報について、BMWでは「コーディング」という言葉で書き換える操作になります。
- 旧バッテリーの交換前走行キロ数、交換後の走行キロ数
- 新バッテリーの容量:アンペアAh
- 新バッテリーの電圧、電流、温度
- バッテリーの種別:AGM、一般の鉛タイプ
- 旧バッテリー記憶情報のクリアー
- 新品バッテリー取付後の充放電情報より、リスタートします
注意点
特に一般バッテリーからAGMバッテリーへの種別変更や容量変更を実施した場合は、車体側に登録されている情報と異なります。確実に新バッテリーの情報を登録し直す必要が出てきます。
バッテリー警告灯点灯の対処
- メーター内の「バッテリー警告灯」が点灯
- バッテリー電圧が規定電圧以下に低下している事を促す警告状態です。
エンジン始動に全く影響ない場合
- 2週間以上、エンジンを始動しなかった。
- 前日に電装系装備を多用し、エンジンをあまり回さず充電不足状態が続いた
- 冬など気温が低下している状態
上記の理由では、バッテリーが寿命でなくても充電不足等により警告灯が点灯する場合があります。一定走行により、バッテリーへの充電が実施されますので、警告灯が消えていれば問題ありません。
エンジン始動にやや影響あり、その後も複数回、警告灯点灯
エンジン再始動後、バッテリー充電でも回復していない可能性が高いです。
早急なバッテリー交換対応を推奨します。
Exx型、Fxx型、Gxx型のバッテリー交換方法
- トランクルーム内のカーペットやカバーのネジを外す(FR車)、MINIやFF車はボンネット内
- バッテリーの位置を確認する
- バッテリーの端子の汚れ(ターミナルに白い粉状)をブラシやCRC-556などで取り除く
- 2ヶ所のネジ(13㎜)を外し固定ステーを外す
- プラスネジを緩め固定ステーを外す
- バッテリー側面の排気ホースを外す
- マイナス端子を外す(10㎜)
- プラス端子の保護カバーを開ける
- プラス端子を外す(10㎜)
- プラスターミナルの保護カバーを開け、10mmのナットを緩めると端子部を緩める
- バッテリーを交換する
- 端子を付け替える
- バッテリーのカバー、カーペットを元に戻す
- バッテリーを新品交換したことを車両に通知する(*:リセット作業)
基本的にオートバックスやイエローハットなどでは、バッテリーのリセットは実施しませんので、欧州車に強いショップやバッテリー専門店での交換をお勧めします。
正規ディーラーでのバッテリー交換は、正しい手順に沿って実施されますが、部品・工賃は高めとなります。
バッテリー交換方法後のリセット作業
BMWバッテリー交換後の「リセット作業」は、車載コンピュータへアクセスするためのOBDコネクタへ専用ツールを接続し、バッテリーのリセットを行う流れです。
- バッテリー交換情報:BATT_REG
- バッテリー容量情報:BATT_SIZE
ODBポートへのアクセス
ODBポート(ODBコネクタ)は、運転席右足元のカバー内にあります。
OBDからアクセスができるツールを接続して操作します。
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リセットツールの注意事項
あくまで、バッテリーのリセット項目に留めるましょう。他の設定書き換えには注意が必要です。
バッテリーのバックアップは必要なのか?
バッテリー交換時に車体側に記憶されたメモリー情報は消えてしまうのでしょうか?
バックアップの実施、未実施の違いについて解説します。
バックアップ実施の場合
バッテリー交換時、補助電源等により電圧を維持しながらバッテリー交換を行った場合、車体側情報は一切影響はありません。
バックアップ未実施の場合
バッテリー交換時、一時的に電圧がゼロの状態として、バッテリー交換を行った場合、一部の情報が消える可能性があります。
- 時計の時刻、ラジオの周波数とメモリー設定
- オンボードコンピューター(装備車)の設定(日付、時刻等)
なお、下記の項目はリセットされずに保持されます。
- トリップ、オドメーター(機械的に保持)
- ETC(装着車)の設定(機械的に保持)
- カーナビに設定、登録情報(HDDに保持)