車の盗難ニュースに関して、リレーアタックという手法が、話題になっています。BMWとしての対応状況と予防策を具体的に解説します。
リレーアタックの概要
スマートキーの特性を悪用した車両窃盗手法。バケツリレーのようにキーの微弱電波をリレーしていくことから、この名が付いています。スマートキーは車両とキーが発する電波を互いに受信することで電子IDを照合し、ドアの施錠・解錠やエンジンの始動を行う仕組みです。通常はキーが車両の周囲約1メートル以内になければ作動しません。
- 犯行グループは車両から離れた運転者に近づき、キーが常時発する微弱な電波を特殊装置で受信・増幅して仲間に送信します。
- 電波を車両までリレーすることによって解錠を可能としています。
- さらにエンジンを始動して車両を盗み出します。
- キーをあたかも保持しているように電波を記録し、再送信する仕組み、もしくはエンジンを再始動する仕組みもある様子
日本での被害件数は不明ですが、海外では発生が確認されていることから、警察庁が注意を呼び掛けています。リレーアタック以外の盗難手法については、下記にて解説します。
リレーアタックの防止策とは?
現在、リレーアタックに対して、自動車メーカーでの明確な対応策は無い模様。
そのため、リモコンキーからの微弱電波を傍受され無い対応が必要です。
自宅や外出先で、リモコンキーからの電波を傍受されないように随時注意が必要なのです。
具体的には、携帯電話やスマートフォン用の「電波遮断ケース」が安価に売られており、効果的です。自動車用キーの電波遮断ケースも出回っていますが、まだ一般的ではないようです。
どちらも通販では入手可能です。
鉄の缶は効果があるのか?
お菓子の鉄缶などは塗装部分から電波が漏れるために蓋をしても効果がないケースがあるようです。
そのために市販の「電波遮断ケース」かアルミ箔などで覆うのが効果的のようです。
BMW標準のリレーアタック対策(モーションセンサー)
BMW社としてもリレーアタックによる被害を鑑み、メーカーとしても対策を実施しているようです。
リレーアタックを防ぐ仕組みとは
キーを持って移動中なのか、キーが机上などに置かれた状態で2分間キー自体の移動が無い事を検知するのが「キーモーションセンサー」です。車体の施錠や解除時にキーを持ち運んでいる場合は、電波を発射します。上記以外で、キーを保管中と判断し、電波を発射しない仕組みです。
よって、自宅にキーを保管したり、出先でキーを一定時間置いた状態では、第三者はキー電波を受信できず、リレーアタックを防止する仕組みとなっているようです。※ただし、キーを所持して車体前後を移動中の場合は、電波が発射されており、リスクが完全に無くなったわけではありません。
キーモーションセンサー搭載・対象車種
- 2019年3月生産以降のコンフォートアクセス搭載モデル
- キーを置いた状態から約2分の時間経過で停止
※生産年月により、未装備の場合もあります。
対象外車種の対応とリスク
海外と日本では、キーリモコンの電波周波数が異なるようです。海外版は、後付けでの対応策を実施できるようですが、日本仕様は未対応とのことです。
よって、リレーアタック防止グッツなどでの電波遮断が必要です。
BMWのスマートキー(コンフォートキー)とは
最近のBMWでは新車納車時リモコンキーが2つ付属しています。
他メーカーではスマートキーやインテリジェントキーと呼ばれる電子キーです。
BMWではリモートコントロールキーと呼ぶようです。
BMWのコンフォート・アクセス機能概要
- キーをポケットやバッグなどに入れておけば、従来のようにキーを直接操作せずに車体の操作が出来ます。
- ドアのロック/ロック解除
- トランクリッドやテールゲートのロック/ロック解除
- エンジンの始動/停止
オプション装備により以下の操作も可能
- ウェルカムライトの点灯/消灯
- ドアロックと同時にサイドミラーの折り畳み
- パワーウインドーの開閉(サンルーフの開閉)
- キーごとにシートを自動的に位置調整
- ドアロック解除と同時にエアコン/シートヒーターのオン
- スマート・オープン/クローズ機能
- コンフォート・オープニング
デジタルキーの今後
ディスプレイキーは、BMW7シリーズなどに採用されています。
BMWでは、専用アプリ「BMW Connected」により、スマートフォンからクルマにアクセスする技術が可能となっています。実際に2018年7月から導入されています。
NFCを使ってドアのロック/アンロックとエンジンスタートが可能で、スマートフォンの画面にクルマのステータスが表示されます。
NFCとは、近距離無線通信規格と呼ばれるもので、「かざすだけ」で電子マネーの支払いやSuicaなど交通系ICにも使われている技術です。
キーが本物なのか、偽物なのかを正確に判別する仕組みが必要となります。
自動車メーカーや自動車保険としての対応は後手に回っています。
現在は、万が一の対応としての自動車保険(車両保険の加入)とリモコンキーの電波遮断の対応が求められます。