BMWディーゼル車の排ガス軽減機能
ディーゼルエンジンの特徴
ディーゼルエンジンの排気ガスはNOx(窒素酸化物)とPM(燃えカス等の煤)が発生します。NOx(窒素酸化物)に対して、EGR(排気ガス再循環装置)にて排気ガスを燃焼室にもう一度再循環をさせることで燃焼温度を下げることで低減させることが出来ます。
- ここで問題になるのがNOxを下げるとPMが発生することです。
- このPMを取り除くのがDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の役割です。
- このDPFにてキャッチされたPMは一定以上蓄積すると「DPF再生」と言う機能が作動し、貯まったカーボンを焼き切ります。
BMWはDPFを搭載
クリーンディーゼル車には、下記のような粒子状物質(PM)を捉えて排気ガスを浄化する後処理装置が搭載されています。
- DPF(Diesel Particulate Filter)「ディーゼル微粒子フィルター」:BMWはDPF
- DPR(Diesel Particulate Active Reduction System)
- DPD(Diesel Particulate Defuser)
DPFの機能
BMWが搭載するDPF機能が、正常に機能するための条件
- DPF内に一定数以上の煤が蓄積する
- 排気ガス温度が240度以上に達する事。(始動後、数分では達しないケースが多い)
- エンジン水温が75度以上。(始動後、数分では達しないケースが多い)
- 燃料残量が二桁以上残っている事。(DPF再生中は燃料を余計に消費するため)
各種要件が揃って、DPF再生が可能となります。
ディーゼル車が短距離走行に向かないケース
ディーゼル車は、高速道路の連続走行など、エンジンが温まった状態であれば、煤が溜まりにくいとされています。
日頃、近場のチョイ乗りばかりの使い方は、ディーゼルエンジンにとって好ましくない状態と言えます。
チョイ乗りばかりは危険
- 5分~10分程度の移動
- ゴーストップが多く、エンジンを回さない
- ほとんど急加速もしない
このような乗り方は、ディーゼルエンジンにとって、煤が溜まる条件が揃います。
短距離・チョイ乗りがDPFに不具合を与える要因になる
DPFを正常に稼働させるには、一定の温度が必要となり、その温度に達するには、ある程度のエンジン連続稼働と負荷を与える必要が出てくるのです。
それが「ディーゼル車は“短距離走行のみ”であれば向かない」理由です。
その結果
チョイ乗りや短距離走行で、短時間でエンジン稼働だけでは、煤をキレイに焼き切るDPF再生機能が、作動せず、煤が溜まっていくという結果に繋がります。
エンジンの適正水温と推奨距離とは
水温が「OK」表示での走行を推奨
- 水温:75度の目盛りが目安
- 走行距離としては、5キロから10キロ
- 冬季は、水温の上昇に時間がかかります。
郊外のゴーストップが少ない道であれば、短時間のチョイ乗りや買い物用途でも、日々達成しているかもしれません。30分以上の通勤に利用している方なら問題無さそうです。
しかし、10分以内の短距離走行では、適正水温に達しません。
年間を通して、短距離走行ばかりでは、ディーゼル車乗りとしては、不向きな利用形態と言えます。
尿素SCR搭載車
BMW ブルーパフォーマンス(Blue Performance)モデルが、それに該当します。
近年のモデルでは、基本的に搭載しています。
NOx対策
尿素SCRの「SCR」とは「Selective Catalytic Reduction」の略で、選択的触媒還元という意味になります。アンモニア(NH3)をNOxと反応させることにより、窒素(N2)と水(H2O)に分解するものですが、アンモニアはそのままでは取り扱いが危険なため、純粋に溶かした尿素水として利用するものです。
この尿素水をドイツの工業規格で「アドブルー(AdBlue)」と呼んでいましたが、現在では一般的にも使われるようになりました。
アドブルーの補充が必要
警告灯も出ますし、定期点検での補充タイミングで問題ないでしょう。
AdBlue(アドブルー)の補充はディーラーでもガソリンスタンドやカーショップでも可能です。
1ℓあたり、約1000キロほどの走行が可能で、高負荷走行が多いほど消費量は多くなる傾向です。
アドブルーはリッターあたり500円以下、補充は5分から10分程度で完了します。
DIYでの補充も可能です。
EGRの煤カーボン詰まり問題
EGR (Exhaust Gas Recirculation 排ガス再循環)に含まれる「EGRクーラー」における潤滑油への影響があります。
EGRの機能とは
- 排出ガスの一部を吸気側に戻して燃焼ピーク温度を下げ、有害物質であるNOxを低減する仕組み
- PM, SOx, NOxが含まれた排出ガスを再度吸気側に戻す
- 酸化物であるSOx, NOx がオイルと触れ合う機会が増加する
- 結果としてオイルの塩基価(酸化物を中和しエンジン各部の酸による腐食等を防ぐ能力の指標)の減りも進む
- オイルが酸化劣化した状態が続くと、劣化油によってエンジン各部の腐食、故障の原因に繋がる
ディーゼル車はチョイ乗りや短距離走行に向かない:まとめ
燃費が良く、燃料代も安い、トルクフルなど、メリットの多いディーゼル車です。
デメリットであったエンジン音や振動も軽減され、乗り換え時にガソリン車よりもディーゼル車を指名される方も増えているでしょう。
一方で、エンジンの不調を訴える方も増えているようです。
それは、短距離走行を繰り返すのチョイ乗りに問題があるケースが多いようです。
新車から3年、3万キロ程度では、煤によるトラブルは表面化しませんが、走行距離が増えてくるとトラブルとなって現れるケースが出てきます。
週一または、月一レベルでの高速走行や30分以上の連続走行が、ディーゼルエンジンを守る秘訣です。
ディーゼル用ケミカルグッツ
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