BMWのZシリーズ(Z1 Z3 Z4 Z8)のロードスター、クーペに関する歴代モデル型式やスペック、故障情報を解説します。Zシリーズのマイナーチェンジ、フルモデルチェンジの変遷・歴史をまとめました。
Zシリーズ概要
Zシリーズは、ドイツ語で「Zukunft」の単語(未来)の頭文字をベースとしてZ1からスタート。
1990年代の後半、小型の2シーターオープンカーは、世界的に絶滅の危機に瀕していました。
日本のマツダロードスター(Mazda MX-5 Miata)に端を発したライトウェイトの2シーターオープンカーブームは、BMWとて例外ではなく、現在のZ4先祖にあたる、Z3は北米サウスカロライナ工場で生産されました。ロングノーズとショートデッキ、スモールキャビンの古典的なスポーツカーのスタイリングを踏襲した2シーターオープンカーとして、最新モデルまで、その血統を受け継いています。
最新モデルでは、電動ハードトップとなり快適性や安全性もアップした。1シリーズ、3シリーズのクーペモデルに比べて、その存在感やオープンカーの持つ楽しさは、圧倒的な魅力となっています。
BMW Z4は、ズィーフォーと呼ぶ。ベースモデルは、2人乗りのオープンスポーツカーである。
Z4は、ライトウェイトモデルから一転し、若干ボディサイズを大型化し、ラグジャリー要素を加えて車重も増加しました。初代E85モデルは、アメリカサウスカロライナ州スパータンバーグ (Spartanburg)工場で製造。2代目E89モデルは、ドイツバイエルン州レーゲンスブルク(Regensburg)工場にて製造されています。
Zシリーズ 形式別メニュー
Z1
Z1情報 初代 (1989年-1991年)
Z系モデルとして初のオープン2シーター専用モデルになる。特徴的なドロップドアは、ドア本体がボディの内側に下向きに引き込まれることで開閉する仕組み。
ドア開閉の仕組み
- 車体外部のキーホールを押すとドアが下部に引き込まれる仕組み
- エンジン停止中でもドアの開閉操作可
- ドアの下降時、サイドウィンドウはドア内に格納される仕組み
Z1スペック
- ボディサイズ:全長3921、全幅1690、全高1227mmのZ1専用シャーシ
- 重量:1247kg(5MTのみ、FR駆動、49:51)
- E30/325iのエンジンをベースのM25B20型
- 直列6気筒SOHC
- 排気量:2.5リッター、170ps/22.6kgm
- 昇降式ドア(ドアシル格納型の上下格納ドア)
- モノコックフレームにFRPのアウターパネル(FRPドアパネル)
- 生産台数:約8000台(日本正規輸入なし)
- アルピナ66台限定生産:2.7リッター「アルピナ・ロードスターリミテッドエディション」(日本輸入あり)
- フロントサス:マクファーソンストラット
- リヤサス:Zアクスル(マルチリンク式サスペンションの一種)
- 左ハンドル仕様のみ
- 最高速:218km/h、0-96km/h加速:7.9秒
- 開発責任者:ウルリッヒ・ベッツ
Z3情報
Z3シリーズ E36/7/8情報 初代 (1997年-2003年)
Z3シリーズ E36/7/8情報
E36/7ロードスター:Z3(1.9)/2.0/2.2i/2.8/3.0i/Mロードスター
E36/8クーペ:2.8/3.0i/Mクーペ
Z4情報
Z4シリーズ E85/E86情報 初代 (2003年-2009年)
Z4シリーズ E85/E86情報
E85ロードスター:2.2i/2.5i/3.0i/3.0si/Mロードスター
E86クーペ:3.0siMクーペ
Z4シリーズ E89情報 2代目 (2009年-2018年)
Z4シリーズ E89情報
sDrive23i/sDrive35i/sDrive35is
Z4シリーズ G29情報 3代目 (2019年-202x年)
Z4シリーズ G29情報
sDrive20i/M40i
Z8情報
Z8シリーズ E52情報 初代 (2000年-2003年)
Z8シリーズ E52情報
ボディサイズ4400x1830x1315、1585kgのオールアルミボディにE39-M5と同様のV8-5L/400psエンジンを積み、6MTモデルのみ。
約6000台が生産された。1950年代の507型をモチーフにしたモデルである。
Zシリーズ型式別、年度別の中古車動向と注意点
Z3シリーズ E36/7/8
1996-2002年のモデルとなるZ3。ロードスターとクーペが存在する。
Z4にバトンタッチしている為、割安である。 2.2/2.8/3.0を除き、年式のせいか程度が悪いものが多い。オープンの為、内装の劣化も早い事もあり、前オーナーの整備・使用状況や程度を良く確認したい。 前期モデルは、やや程度が悪化した車も多いが、後期モデルで走行が少なければ買い。
特に2.8モデルやクーペが割安。 (2006)
価格帯は30-180万となる。タマ数は比較的多い。ソフトトップは手動式のためトラブルは少ないが、幌の劣化が進んでいるので、しっかりと程度を確認したい。年式的に多走行モデルが多くなっていることと、ワンオーナーモデルが少ないことで、程度の良いタマは少なくなってきている。1999年モデル以降の後期で、低走行のATモデルが比較的、程度が良いかもしれない。シートやハンドルなど内装の劣化も注意しておきたいポイント。お勧めはハードトップと独特のスタイリングで注目度も抜群のクーペかもしれない。どちらにしても、古い車であるため、購入費用とは別に整備費用も準備しておきたい。(2009)
価格帯は30-130万となる。タマ数は比較的多い。この価格帯に落ちてくると、
選ぶなら後期モデルを確実に選びたい。2.2iと2.8i/3.0iとの価格差が僅かであり、排気量の大きいモデルを選ぶ方がエンジンの圧倒的な余裕を楽しむ事ができるだろう。
寒くなる時期は、値引きも大きくなるので狙い目。10年超の車が増えてきているため、試乗と電装系の確認はしっかり行いたい。(2010/11)
最終モデルも10年超となり、1.9の4気筒モデルは全て100万以下となる。
一番人気は2.2iの6気筒モデルはやや価格も高い。2.8i/3.0iが狙い目である。
年数的にも劣化が進んでいるので、走行距離や程度の良いタマを極力探すことがポイント。
シートや幌など通常のセダンとは違った部位のチェックも欠かせないです。
国産車から外車オープンカーに着目し、ここにたどり着いた方にとっては、とにかく高年式、低走行、保証付きの車選びが重要。(2015/LAST)
Z4の中古車の注意点・ガイド
E85 Z4シリーズ
2003-2008年のモデルとなるZ4。ロードスターとクーペが存在する。
個性的なスタイリングで注目度も抜群。 オープンのシーズンは、相場もやや高めになる。
エンジンも6気筒になり、Z3に比べて価格帯もアップし、手荒い使われ方の車は少ない。 程度が悪いものは少なく、好みのカラーであれば買い。3リッターモデルはパワフルであり、新車では手が出ないが、中古車では無理して狙いたいモデル。 (2006)
マイナー前モデルの流通量アップ。短期間で手放すユーザーが多く、低走行車が狙い目。
季節的には、5月より前、11月以降のオープンシーズンを外すとグッド。(2007)
価格帯は、150-680万となる。タマ数は多いほうで、Z3に比べても手荒な乗り方をされた車は少ない。比較的、低走行モデルも多いことから、地味なカラーの車は、お買い得かもしれない。ソフトトップの耐久性は高いが、内装の劣化と共に、オープンカーでは必須の確認ポイント。2006年のマイナーチェンジ以降の後期モデルは、ホワイトウインカーなど外観上の変更点も多く、予算が許せばこちらを選びたいところ。年式の新しいモデルは、やや割高傾向だが、程度が良いものが多く、長く乗るのであれば、ぜひ選びたい。2009年に新型Z4が登場したことにより、価格帯は、全般的に50万程度の値落ちが予想される。(2009)
03,04年モデルは、200万円割物件も多くなり、比較的購入しやすくなってきた。
流通量も多く安全装備や快適装備が充実したZ4は、オープンモデルの入門用としても最適である。
手荒く扱われたものは少ないが、オープンモデルの性格上、幌や室内の日焼けの痛み具合もチェックしよう。新型登場で、後期モデルの値落ちも進んだ。予算が許すなら、後期の認定中古車を迷わず選びたい。(2010/11)
価格帯の中心は100万円台となり、中古車としての割安感も高まっています。
Z3に比べてラグジャリー感もアップした。日常の使い勝手や荷物の運搬などに支障がある車でもあるので、短期間で手放すことが無い様、購入後の用途も考えて契約したい。
車体の性格上、走行距離は少なめの車両が多い。現行E89モデルのタマも増えており、E85中古車は、今が旬である。寒いシーズンが特に買いのオープンカーである。(2015/12)
E89 Z4シリーズ
2009-2018年のモデルとなるZ4。ロードスターのみ存在する。Z4の2代目として、より一層の快適性が向上。ボディ剛性もアップし、何と言っても自動ハードトップ化により、夏冬とわず対候性が向上しています。特にエアコンの効き具合も変わりますので、オープン走行だけでなくクローズド走行時の快適性を気にするならE89一択になります。
既に次期モデルZ4の登場が噂されており、現行モデルは生産終了しています。
2009年からの登場となり、低年式モデルは7万キロ以上の多走行車も増えており、今後のメンテナンス費用増を考慮する必要があります。もし、5万キロ以内で程度の良い低年式モデルがあれば買いでしょう。特に35iはパワフルな走りとDCTによるスポーツドライビングが楽しめます。
長く乗るのであれば、20iにしておけば間違いないでしょう。2リッターターボのパワーは、ゆったり転がすには十分なトルクです。8ATによりスムーズかつ快適な走りです。
E89はハードトップのためシートの劣化は、先代モデルに比べれば劣化度合いは軽いです。ただし、オープン走行や荒い使い方では、かなり劣化が見られる個体もあります。
走行距離だけでなく、内装の劣化が激しいモデルは避けた方が無難でしょう。価格も相応に安いはずです。(2018/7)