BMWは故障が多い、壊れやすいというイメージがあるでしょう。故障率から見たBMWは、壊れやすいのか、壊れない車の選び方を解説します。
故障のイメージと最新の状況
「外車と言えば故障する」「修理代が高い」このような定番イメージが定着しています。確かに1980、90年代は、まだまだ故障の比率が高かったのではないでしょうか。1993年にBMWは、他メーカーに先駆けSFW(サービスフリーウェイ)という、3年間法廷点検・整備無料サービスの提供を開始します。以降、当時E46/E39の新車購入の敷居が低くなったのではないでしょうか。認定中古車(アプルーブドカー)による保証も開始され、安心して購入できるようになりました。
それでも故障しやすいというイメージがあるようです。その原因は、メンテナンス不備による原因が多いようです。BMWの故障の原因をさらに詳しく解説します。
メンテナンス不足
BMWの故障が多くなる最大の要因はメンテナンス不足です。BMWは国産車に比べて、消耗品や部品を定期的に交換することで、良好なコンディションを維持できるように設計されています。エンジンオイルなど消耗部品だけでなく、可動部品についても日本車のように、ロングライフ化が進んでいます。しかし、ガソリンスタンド車検などでメンテナンスをしないと、故障原因を誘発してしまいます。
愛車の保管環境
日本は高温多湿で、寒暖差が激しく、BMW車にとって非常に過酷な環境となります。
特に直射日光が照りつける保管場所では、バンパーモール、ガラスモールなどの樹脂やゴムパーツの劣化を加速します。
愛車の走行環境
豪雪地帯では、「凍結防止剤」が散布されており、ボディ下部の金属製部品の劣化やサビを誘発してしまいます。
また、高速道路の走行よりも、悪路や登坂路が多ければ、ボディへの振動が大きくなり、足回りやエンジンの負荷が高くなります。朝夕方の大渋滞が多ければ、熱によるエンジンルーム内部品の劣化を加速します。
経年劣化
走行シーンや保管状況により、劣化スピードも大きく変化します。古くても雨風が入らないガレージ保管や、雨の日は乗らない、走行距離が非常に少なければ、良いコンディションを維持できるものです。しかし、日常用途では経年劣化が進みます。BMWパーツの経年劣化による故障は大きな要因でしょう。
ブッシュやアッパーマウントなどのゴムパーツは、硬化やひび割れを発生します。ゴムパーツの劣化により、振動や異音の発生に繋がります。経年劣化による故障になる前に部品を交換し、リフレッシュする必要があるのです。
BMWの故障率
U.S. Vehicle Dependability Study
調査機関の米国JDパワー社が実施している「自動車の信頼性ランキング」です。
ドイツ車の中でもBMWは、平均点以上のポイントをマークしており、信頼性が高いと言えます。
平均点以上の日本車メーカーと遜色ないポイントである点で、故障率も日本車と大差なく、従来のイメージにあるような、故障しやすいという実態にないことがわかります。
少なくとも平均値以下の日本車が存在している点では、ドイツ車において故障が多いという話は過去の話であると理解できるでしょう。
コンシューマーレポート
独自の試験施設で行う自動車などの比較検討調査の結果をレポートしています。
レポートの独立性・公平性を維持するために、各号誌面には企業広告を一切認めていない。毎年4月に発行される「The annual Consumer Reports New Car Issue)」は最多の発行部数に及ぶ。同特集号に掲載された各メーカー・各自動車の乗り心地、性能、安全性・信頼性などの結果は、北米の新車・中古車販売に多大な影響を及ぼすとされる。(以下、2023年の結果)
消費者の意見としても上位にBMWがランキングされており、ユーザー満足度が高く、故障率が低い結果と読み取れるでしょう。
BMWの故障しやすい箇所
故障しやすい箇所は、下記になります。これも車種により変わりますので代表的な例を記載します。
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- 点火系
- 電装系
- 操作系
- 水回り系
- 足回り系
- ABS警告
- 燃料系
- 電動ポンプ類
- 各種オイル漏れ
点火系
点火系といえばイグニッションコイルは、エンジンを動かすために必要な部品です。エンジンは、ガソリンと空気を混ぜた混合?気をスパークプラグの火花によって爆発させ、動力を生みます。そのスパークプラグは、イグニッションコイルから送られた電気により混合気に点火します。つまり、イグッニションコイルが正しく動作しなければエンジンが動かなくなってしまうのです。イグニッションコイルは、エンジンシリンダー1つに対して1本必要です。また、修理費用は1本あたり1~2万円と高額です。1本のイグッニションコイルに不具合が発生すると他のイグニッションコイルも寿命が近づいているとみなされるため、全交換を推奨されます。
BMWは、3気筒エンジンから12気筒エンジンまでバリエーション豊富です。したがって、気筒数が多くなればなるほど、イグニッションコイルの交換費用は高額になります。
電装系
電装系の中でもパワーウィンドウは、故障頻度が多い箇所です。パワーウィンドウのレギュレーターは、モーターによって、ワイヤーを巻き上げたり、ギアを噛み合わせて動かしたりする仕組みになっています。パワーウィンドウレギュレーターが故障した場合、ユニット全体を交換しなければならないため、仮にディーラーの以外の修理工場で作業を行ったとしても3~6万円程度かかります。また、電動格納式ドアミラーも故障しやすい部品一つです。内部モーター交換でなく、ミラー全体交換となり費用もかさみます。多走行車では、発電機の故障が多くなります。点検時の発電量チェックが必要です。また、最近ではアイドリングストップ車により、バッテリーの負荷が高まり寿命が短くなっています。こちらも2,3年での交換が必要となっています。
操作系
操作系の中でもパワーステアリングとは、エンジン(油圧)の力や電気モーターの力を使って低速時にハンドルが重くならないようにアシストする機能です。エンジン(油圧)によるパワーステアリングの場合、パワーステアリングオイル(パワステオイル)の漏れが発生することがあります。BMWは、パワーステアリングのポンプ・リザーブタンク・ホースなどからオイル漏れが発生しやすく、ハンドルを切った時に異音が発生したり、車を停めていたところにオイル染みが残ったりします。さらには、異音やオイル染みは不具合の初期症状に過ぎず、そのままにしておけば二次故障の原因になります。つまり、そのような不具合を見つけた場合は、早急に修理する必要があるのです。
水回り系
水回りの中でもエキスパンションタンクは、ラジエーターから噴き出す水蒸気の液化を維持し、再びラジエーターに戻す部品で、リザーバータンクと呼ばれることもあります。エキスパンションタンクは樹脂、ラジエーターホースはゴムで作られているため、耐久性が高くありません。エキスパンションタンクやラジエーターホースの破損によりクーラントが漏れてしまうと、エンジンを冷やすことができなくなり、オーバーヒートやエンジンの焼き付きを引き起こすため、早急に修理する必要があります。ラジエター本体やホース類の劣化による水漏れも注意が必要です。ラジエターファンなどのウォーターポンプなど、多くの電動系部品もあり、可動状況の点検が必要です。
足回り系
国産車に比べ、欧州車の多くの足まわりは、耐久性よりも運動性を重視しています。ブーツ・ブッシュ・アッパーマウント・バンプラバーなど多数あります。特に重要なのは、ドライブシャフトブーツの破損です。エンジンで発生した動力は、回転エネルギーに変換され、ドライブシャフトを通してタイヤに伝達されます。ドライブシャフトブーツは、可動部分の保護やグリスの飛び散りを防止している部品であるため、ブーツが破損してしまうと、最悪の場合はドライブシャフトが折れてしまい、走行不能に陥ってしまいます。
ABS警告
ABSアンチロックブレーキに始まったブレーキの高機能化により、センサーや制御部品が数多く組み込まれ、故障の原因となっています。センサー異常だけでなく、部品の寿命や劣化などもあり、内容により費用もかさみます。
電動ポンプ類
燃料ポンプを筆頭に数多くの部分に電動ポンプが埋め込まれています。これが故障すると車が停止してしまうような、重大原因に繋がります。突発的に故障するケースもあり、経年劣化を見越して定期交換が求められます。
定期交換とは5年10年や走行距離など、ディーラーの推奨する交換年数により、部品交換を行うことをお勧めします。
各種オイル漏れ
BMWは、エンジンオイル漏れが発生しやすい車です。エンジンオイル漏れの主な原因は、ガスケットの経年劣化です。ガスケットは、パーツとパーツの間に挟まっているパッキンで、時間の経過とともに劣化が進み、オイル漏れが発生します。オイルの染みや漏れを発見した場合には、なるべく早く修理工場に持ち込み、修理見積を出してもらうことおすすめします。
BMWが故障した場合の対応とは
故障した場合は、早めの原因解明と対応が求められます。
ポイント
BMWが故障したときは、早めに対処することが大切です。故障した部分を突き止め、どのような状況で壊れてしまったのかを明らかにしておくと、スムーズに修理の依頼をすることができます。
故障箇所の特定と原因を解明する
故障した部位を突き止めるためには、日常点検をしっかりしておくことと、故障診断機を使った原因の追求が必要です。ただし、故障診断機を持っているのは、ディーラーをはじめとする輸入車を取り扱う整備工場に限られるため、あらかじめ故障診断機があるかどうかを確認しておく必要があります。
故障時の状況を再現性を説明する
BMWが故障したときの状況を把握し、整備の方へ説明できるようメモに残して伝えましょう。走行中だったのか、停車中だったのか、ぶつけてしまったのかなど、故障したときの状況を把握することで、壊れた原因を突き止めるヒントとなります。また、故障した瞬間にどのような音が発せられたかということも貴重な情報になります。特に同乗して説明するなど、整備の方に具体的な不具合を正しく認識してもらう事が重要です。
修理費用の事前見積を依頼する
BMWの修理にかかる費用は高額になる可能性があるため、あらかじめ資金の用意が必要です。修理費用は、故障した部位や程度によって異なりますが、数十万円以上かかることもざらにあります。したがって、あらかじめ修理費用の積立をしておくと安心です。修理費用が高額の場合、即修理が必要なのか、故障のままで乗り続けることが可能なのか、などの情報も重要です。
業者を選別する
基本的に正規ティーラーでの修理が確実です。理由は、不具合事例に対する対応力が高いからです。豊富なデータベースは、ディーラーサービスの基本であり、一般工場の達人でも太刀打ちできません。ただ、30年以上前の旧車ではコンピュータ部品も少なく、一般工場の整備人の方が安価で確実な場合もあります。
ディーラーでの修理費用が高額な場合は、欧州車に強い業者に相談をお勧めします。スムーズに相談することができます。また、スマートフォンなどで写真を送って車の状況を見てもらう方法もあるため、業者の電話番号だけでなく、メールアドレスやLINEを知っておくと安心です。
故障が少ない高年式や新車を選ぶ
BMWは壊れない、BMW故障しない
故障しやすかった過去に比べて最新モデルは、故障発生率が減少しています。そこで故障が少ないモデルを選ぶという選択もあります。ここからは、故障率が低いBMWの特徴を紹介します。
高年式を選ぶ
故障が少ないBMWは、年式が新しい車種です。年式が新しいモデルであれば、同じ型式の車種であっても、改良・改善が実施されているため、故障率が低くなるのです。また、公式発表がなくても、マウントが変更されていたり、故障しにくい部品に置換されたりしているケースもあります。このような理由で、年式が新しい車種は故障するリスクが低いといえるのです。
新車、未登録車
新車や新型車は、故障する確率が低いといえるでしょう。これは、全てのパーツが新しく、正常に機能する可能性が高いためです。新型車は、初期不良を心配する方もいるかもしれませんが、新車であれば、メーカー保証の適用によって初期不良に無償で対応してもらえます。
新車は、BMWや輸入車初心者にとっての最大の保険であるとも言えます。
低走行車、ディーラー整備車、ワンオーナー車
ワンオーナー車は、故障のリスクが低いといわれています。ディーラーで実施した過去の修理履歴や点検履歴が明らかになっていることが多いためですが、そのような車両であれば問題の有無を確認したうえで購入を検討することができます。また、新車のメーカー保証が使えることから、初期不良が改善された車両になっていることも多く、故障が起きにくい理由のひとつになっています。
- 新車から3年以内かつ走行距離3万キロ以内
- BMW正規ディーラーの認定中古車かつ2年保証付き車
BMW修理の依頼先選び
BMWが故障した時は、あなたは、何処へ愛車を持ち込むでしょうか。
- 正規ディーラー
- 外車専門修理工場
- 一般修理工場
- BMWチューニングショップ
正規ディーラー
BMWが故障したときに、真っ先に思い浮かぶ修理の依頼先は正規ディーラーでしょう。BMW純正部品を扱っているため、信頼性が高く、純正パーツを用意できるため、車種に合った修理を実施できます。しかし、修理費用が高額になるのは当たり前で、それがBMWを購入するオーナーの心得でもあります。
外車専門修理工場
外車専門の修理工場は、外車の修理・整備を得意としており、信頼性が高いといえます。また、ディーラーよりも安い価格で修理できる修理工場がほとんどのため、経済的といえるでしょう。しかし、外車専門修理工場の分野がメーカーや車種、国ごとに分かれていることが多く、修理工場の選択を慎重に行う必要があります。ディーラーが板金塗装など、外部の修理工場へ委託している場合もあり、認定工場になってる場合は技術も高いと言えるでしょう。
一般修理工場
基本的に日本車をメインに扱っているため、BMWの修理ができないこともあります。これは、BMWの修理に必要な設備(コンピュータ診断機)や工具が日本車と異なるためです。
BMWチューニングショップ
一般整備よりも、チューニングとドレスアップに注力しているショップです。
一般整備をメインに行っていないため、技術力には劣るケースもあるでしょう。元正規ディーラー整備士などのケースもありますが、設備や技術力に劣る点を考慮しつつ、ライトな整備と修理に限って預けるなどの使い分けがポイントです。
まとめ
高年式のBMWほど、故障率が下り保有年数が長いBMWも増えており、故障が多いという話は過去のものとなりました。定期的な点検修理を実施していれば、手放すまで大きなトラブルも無い方が多いです。
お勧めは、5年5万キロ、10年10万キロなど、あなたの買替サイクルが買替タイミングであるとも言えます。
大きな故障が発生してからでは、下取り価格も大きく下ってしまうためです。
バッテリーやタイヤなどの消耗品以外で故障や修理が多い場合、買い替えを検討する必要があるといえるでしょう。故障が続き、修理頻度が高いと、当然のことながら維持費が高くなってしまいます。また、大がかりな修理が必要な場合、長期にわたり整備工場に預けなければなりません。さらに、いつ故障するかわからない中古のBMWに乗り続けることは不安やストレスの原因になります。高額の修理代が発生する前、したがって、不安やストレスを抱えてBMWに乗り続けるのであれば、故障リスクが少ない車に買い替える方が賢い選択といえるのです。