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BMWの後輪操舵(インテグレイテッドアクティブステアリング)の動作とは

BMW総合情報
BMファン君
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BMWのインテグレイテッド・アクティブ・ステアリング(後輪操舵)について、旧世代から最新世代までの流れを整理してみました。

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後輪操舵・四輪操舵(4WS)の背景

4 Wheel Steering(4WS)とも呼ばれていた機能です。

  • 低速域では、前輪と逆位相
  • 高速域では、前輪と同位相

に後輪を操舵することにより、小回りのしやすさと高速域での安定性に寄与するものです。
ホンダプレリュード(BA5型)の機械式4WS以降、電子制御4WSやハイキャスなどの仕組みが登場したものの、ハンドリングの不自然さから、消滅してしまいました。

2009年登場の7シリーズ以降、BMWでもインテグレイテッド・アクティブ・ステアリング(前後輪統合制御ステアリング・システム)の名称で、電子制御による自然な「後輪操舵」の機能が登場し、現在に至ります。
また、他メーカーでも後輪操舵の装着例が増えてきています。

アクティブステアリングとは

3シリーズ(E90)や5シリーズ(E60)は、「インテグレイテッド」の名称が付かないアクティブステアリングです。(機能的には、フロントタイヤの操作のみです)
機能としては、ステアリングコラムに内蔵されたプラネタリーギア(太陽歯車を中心に、複数の遊星ギアが自ら回転しつつ公転する構造を備えた遊星歯車機構)により、車速や走行状況に応じて前輪の切れ角やパワーステアリングのアシスト量を可変制御。低中速域ではステアリングのロック・トゥ・ロックが2回転以下になり、ステアリングの操作量に対して前輪の切れ角が大きくなるため、駐車時のステアリング操作量が減少して操作が容易になるとともに、走行中はよりシャープなコーナリングが可能になる。また、高速域では逆に前輪の切れ角がステアリングの操作量に対して小さくなり、直進安定性が向上する。

インテグレイテッド・アクティブ・ステアリングとは

  • 正式名:インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング
  • 日本語機能名:前後輪統合制御ステアリング・システム
  • 機能解説:フロント・ホイールの切れ角を車速に応じて可変制御するアクティブ・ステアリング(電動化)に、リヤ・ホイールのステアリング機能を組み合わせたシステム。

初代(2009-2015):5/6/7シリーズ

  • 60km/hまでは前輪と反対側に後輪の逆位相(最大2.5度)を行う
  • 80km/hを超える場合は前輪と同じ方向に後輪の同位相を行う
  • 停車時にステアリングを回しても、後輪は動かず、走行状態のときだけ後輪操舵となる
  • 15km/h以下ではステアリングを操作した場合でも後輪は動かず、リヤタイヤの負担を軽減
  • 後輪にタイヤチェーンを装着を想定し、フェンダーとの干渉を防ぐためにOFF機能も備わる

第二世代(2015-2020):5/7/8シリーズ

  • 時速約4km/h~60km/h未満では、リヤ・ホイールはフロント・ホイールとは逆位相(最大3度)に切れ、最小回転半径を小さく抑え、取り回しの良さと俊敏性を高めます。(前進、後退時)
  • 約 60km/h 以上ではリヤ・ホイールがフロント・ホイールと同位相(最大2度)に向きを変えることで走行安定性が向上し、ドライビング・ダイナミクスの向上に寄与します。

第三世代(2020以降):5(LCI)/7/8)

  • 時速約60km/h未満では、リヤ・ホイールはフロント・ホイールとは逆位相(最大3度)に切れ、最小回転半径を小さく抑え、取り回しの良さと俊敏性を高めます。(前進、後退時)
  • 約 60km/h 以上ではリヤ・ホイールがフロント・ホイールと同位相(最大2度)に向きを変えることで走行安定性が向上し、ドライビング・ダイナミクスの向上に寄与します。
  • 3km/h以下でも必要に応じて後輪操舵が可能。これにより、ドライバーの操舵の労力が緩和される。BMWによると、駐車スペースにゆっくりと出入りしたり、狭い隙間を通過したりする時の操作性が向上(前進、後退時)

インテグレイテッドアクティブステアリングとは:まとめ

後輪操舵・四輪操舵(4WS)に対して、マイナスイメージが強まり、消え去った過去もありました。しかし、近年ではその効果が見直され、装着車両も増えてきました。
ロングホイールベース化による取り回しの向上だけでなく、高速域の安定性向上にも寄与するものです。

BMWのインテグレイテッド・アクティブ・ステアリングも進化しており、低速域の改善などが日本の道路事情にもマッチした内容となっています。
もはや、慣れてしまえば無くてはならない装備。便利で高性能な装備が、インテグレイテッド・アクティブ・ステアリングであると言えます。
今後、さらなるコストダウンと機能改善を図り、全車標準装備化を要望する「まとめ」とします。