表面の浅い傷や小さい傷は、傷消し剤を使ったDIY補修で隠すことができます。最近ではさまざまな種類の傷消し剤が市販されています。種類や違い、消し方のポイントなど、DIY補修による車の傷の消し方を解説します。
傷消し剤の種類
傷消し剤には下記の7タイプがあります。効果や適した傷、使い方が異なります。
- コンパウンド
- ワックス
- タッチペン
- クロス
- スプレー
- パテ
- シール
なお、下地が見えるほどの深い傷や、板金塗装が必要な歪みやへこみは、傷消し剤では直せませんので、注意が必要です。
DIYと業者委託の切り分け
車の傷については、板金修理業者に依頼して修理してもらう方法と、市販の傷消し剤を使ってDIY補修で目立たなくする方法があります。それぞれの特徴を知っておくと、傷の程度に合わせて選べるようになります。
DIY補修の選択
基本的に擦り傷の程度が浅いものが良いでしょう。ヘコミや傷の深いものはプロに任せるのが無難です。あくまで簡易修理、「目立たなくする」というイメージで望むのが良いでしょう。対象としては、ボンネットの跳ね石によるキズなどはタッチアップの簡易補修に向いています。日常、軽い整備はDIYで実施している。手先が器用である。なるべく安価に修理したいなどの前提条件もあります。
DIY補修のメリデメ
- 修理費用を抑えられる
- 業者に依頼する手間が省ける
- 初めてでも簡単
- 板金、塗装技術な大きな凹みや傷はプロに委託が無難
- 仕上がりはプロに劣る
DIY修理を行う方法
飛んできた石や砂などで走行中についてしまった小さな傷であれば、市販の傷消し剤を使ってDIY補修を行うことも可能です。最近ではさまざまな種類の傷消し剤が販売されており、500円前後の手頃なものから2,000円を超えるものまで、種類や性能、価格も幅広くそろっているため、傷の状態に適したものを予算内で選ぶことができます。一方で、使用する傷消し剤や傷の状態によっては、仕上がりが目立ってしまうことがあります。また、深い傷や大きなへこみの場合はセルフでの補修が難しくなります。
市販の傷消し剤の種類とは
最近ではさまざまなタイプの傷消し剤が販売されており、初めての方でも簡単に車の傷を目立たなくすることができます。DIY補修を行う際は、傷消し剤とはどのようなものなのか、傷消し剤を使用してDIY補修を行う際のメリットとデメリットについて事前に把握しておきましょう。
車の傷消し剤
車の傷消し剤は、飛んできた石や砂、洗車機などでボディについてしまった小さな傷やへこみを目立たなくするために開発された商品の総称です。コンパウンドやパテ、ペンやスプレーなどさまざまなタイプがあり、傷の種類や大きさ、使用する場所によって使い分けることができます。業者に依頼するほどではない小さい傷や浅い傷の補修に適しています。
傷消し剤を使うメリット・デメリット
傷消し剤を使用したDIY補修は、メリットとデメリットを理解した上で検討することも大切です。
メリット
車の傷消し剤にはさまざまなタイプがありますが、どの商品も明記されている手順のとおりに作業を行うだけで、初めてでも簡単に補修することができます。また、手頃な値段で購入できるものが多いので、業者に依頼するよりもコストを抑えられます。傷消し剤の中にはボディの水垢除去や撥水といったプラスアルファの効果を期待できるものもあり、補修と同時にメンテナンスを行うことも可能です。
デメリット
傷消し剤は多種多様な商品が販売されているため、適した傷消し剤を選ぶためには、消したい傷やへこみの深さや範囲、傷のある場所、車種やボディカラーなどから自身で判断する必要があります。また、数種類の傷消し剤を組み合わせて使う場合、料金がかさんで結果的に業者に依頼するより高くなる場合もあるので注意が必要です。商品によっては使い方にコツがいるものもあり、作業のしやすさや仕上がりが大きく異なるので、事前にしっかり調べることが大切です。
傷消し剤のバリエーションとポイント
DIY補修できれいに仕上げるためには、傷に適した傷消し剤を選ぶことが重要になります。市販の傷消し剤には、おもにコンパウンド、ワックス、タッチペン、クロス、スプレー、パテ、シールの7タイプがあり、効果や適した傷、使い方が異なります。補修方法によっては組み合わせて使用することもあるため、まずはそれぞれの特徴を理解しておきましょう。
- 傷消し剤のタイプ:傷消し剤のポイント
- コンパウンド:傷を研磨して目立たなくする
- ワックス:表面をコーティングして傷を目立たなくする
- タッチペン:塗装が剥げた部分を塗って埋める
- クロス :クロスで拭くだけで傷を目立たなくする
- スプレー:ボディカラーと同色の塗料で傷を塗り隠す
- パテ :へこみを埋めて平らにする
- シール :ボディカラーと同色のシールを貼って傷を隠す
コンパウンド
コンパウンドは、車の表面を削って傷を目立たなくする研磨タイプの傷消し剤です。チューブ状や液体、シートタイプなどがあり、それぞれに粒子の粗さが異なるため、傷の種類や深さ、修復の工程に合わせて使い分けます。
ワックス
ワックスは、成分が傷に入り込んで埋めながら、表面をコーティングして傷を目立たなくするタイプの傷消し剤です。固形タイプと半練りタイプがあるほか、傷の表面を削って滑らかにする効果もある研磨剤入りのものもあります。
タッチペン
タッチペンは、小さいハケやペン先で塗装が剥がれた部分だけをピンポイントに塗ることができる傷消し剤です。錆落としなどの下処理が必要ですが、丁寧に塗り込むとほとんど傷が目立たなくなります。
クロス
拭くだけで傷を目立たなくすることができる、クロスタイプの傷消し剤です。クロスに染み込んだ研磨剤や潤滑剤などが細かなすり傷を目立たなくしてくれます。繰り返し使えるので、コストパフォーマンスにも優れています。
スプレー
ボディカラーと同じ色を塗り重ねることで傷を目立たなくする、スプレータイプの傷消し剤です。広い範囲の傷を一気に目立たなくしたい場合に向いています。傷を研磨したり、埋め込んだりする効果はなく、錆落としなどの下処理も必要になりますが、撥水効果やコーティングの効果が得られるものもあります。
パテ
ボディについた小さなへこみを埋めて平らにする、肉盛り用の傷消し剤です。ペースト状が一般的ですが、曲面にも使いやすい粘土タイプや、マイクロバルーン配合の軽量タイプ、耐熱性のマフラー用など、傷の状態や補修場所に合わせたさまざまなタイプがあります。
シール
貼るだけで傷を隠すことができるシールタイプの傷消し剤です。ボディカラーと同色のシールを傷に貼るだけなので、初めてDIY補修を行う方にも向いています。やわらかな素材で曲面にもきれいに貼れるタイプもあります。
傷の状態に応じた傷消し剤の選び方
車の傷消し剤は、使い分けたり組み合わせたりすることで、傷を目立たなくするだけでなく、ボディをよりきれいに保つこともできます。傷の状態別に効果的な傷消し剤をご紹介します。
細かな傷はワックスで対応
ボンネットなど平らな面についた細かな傷や浅い傷には、伸びがよく広範囲をカバーできるワックスがおすすめです。研磨剤入りのタイプなら、研磨とつや出しのダブル効果で長期間傷を目立たなくすることができます。表面を削ることに抵抗がある場合は、研磨剤が入っていないタイプのワックスを使用しましょう。
浅い引っかき傷はコンパウンドで対応
こすったような浅い引っかき傷を消したいときは、コンパウンドが適しています。はじめは粒子の粗いタイプで表面を削り、段階的に粒子の細かいタイプに変えていくなど、傷の深さに応じて粒子の粗さを選ぶのがポイントです。
コンパウンドの使い方手順
細かな傷の補修に使えるコンパウンドは、代表的な傷消し剤として多くのドライバーに愛用されています。実際に傷を補修する手順をくわしくご紹介します。
コンパウンドの使い方準備
- コンパウンド(必要に応じて数種類)
- 布
- スポンジ
- マスキングテープ、養生テープ
傷消しの手順
- 車全体をしっかり洗って汚れを落とします。
- スポンジや布を水で濡らして絞り、コンパウンドをつけて傷に沿ってなでるようにこすります。強くこすると表面を削りすぎるため、強い力でこすらないように注意しましょう。傷の状態に合わせて、粗目から細目へと数種類のコンパウンドを使うときれいに仕上がります。
- 水洗いをして削りかすなどをきれいに洗い流します。
コンパウンド・ワックス利用時の注意点
傷消し剤は、コンパウンドやパテといったタイプ別で選ぶほか、リキッドやペーストなどのテクスチャーの違いや、粒子の粗さの違い、水性や油性といった液性の違いなどで使い分ける方法もあります。
ボンネットやルーフなど広範囲に均一に傷消し剤を塗りたいときは伸びがいいリキッドタイプ、液垂れが心配な側面や曲面などは固めのテクスチャーのペーストタイプが適しています。
コンパウンドは研磨剤が入ったものが多く、超微粒子でも表面の塗装を削り取る可能性があります。車の塗装は非常にデリケートなので、削り取るリスクも考慮して作業を行う必要があります。また、樹脂やゴムにコンパウンドが付着すると変質してしまうこともあるので、タイヤや樹脂バンパーなどはマスキングテープなどで保護しておきましょう。
粒子の荒さによって使い分ける
コンパウンドは、粒子が大きい粗目から、中目、細目、極細、超微粒子まで粒子の大きさによって細分化されていて、粒子が粗いほど研磨する力が大きくなり、粒子が細かいほど弱くなります。塗装補修の下地処理や錆落としをするときは粗目や中目、塗装補修の表面研磨や浅い傷には細目や極細、仕上げのくすみ取りやつや出しには超微粒子といったように、粒子の粗さを使い分けることできれいな仕上がりが期待できます。
水性と油性を使い分け
コンパウンドやワックスといった傷消し剤の中には、水性と油性を選べるものがあります。一般的に、油性は摩擦が少ないので表面を傷めにくく、伸びも良いため使いやすい傾向があります。対して水性は、扱いにコツがいりますが、研磨力が高く、効率よく傷を目立たなくすることができます。
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コンパウンドに向いている傷・向かない傷
コンパウンドは、水で濡らすと見えなくなるような浅いひっかき傷や、指でなぞってもひっかからない小さな傷を目立たなくするのに向いています。また、表面にこびりついた水垢や水滴の跡、塗装の酸化なども、コンパウンドで削り取ることができます。一方、下地面にはのりにくいため、塗装の下地が見えているような深い傷を隠すことはできません。また、ピンポイントの傷やへこみにも適しません。
飛び石の傷はタッチペンで対応
高速道路で飛んできた石がぶつかるなどして塗装が一部分だけ剥がれてしまった場合は、ピンポイントで傷消し剤を塗り込めるタッチペンタイプが適しています。塗装が剥がれた箇所をペン先や刷毛(はけ)で叩くように塗り込むだけなので、扱いも簡単です。錆落としなどの下処理をすると効果が持続しやすくなります。
タッチペンの使用方法
広範囲な傷に使えるコンパウンドとは対照的に、ワンポイントの小さな傷に効果的なのがタッチペンです。狭い範囲の小さな傷を狙い撃ちして補修できるのが魅力です。
準備する物
- タッチペン
- マスキングテープ、養生テープ
- 液体コンパウンド
- 耐水ペーパー(粗目、細目など数種類)
- 脱脂スプレー、または事前に洗剤で洗車
手順
- 車を洗って汚れを落とし、あれば脱脂スプレーで油分を落とします。
- 傷以外の場所に塗料がつかないように、傷の周囲をマスキングテープなどで保護します。
- タッチペンで、点を打つように傷部分を埋めていきます。傷が小さい場合は割り箸に塗料をのせて、少しずつ塗っていくと補修しやすくなります。
- 乾燥するまで待ち、乾いたら傷消し剤を塗り重ねます。傷口から塗料が盛り上がるくらいまで数回繰り返します。
- 完全に乾燥したらマスキングテープをはがし、そのまま1週間程度自然乾燥させます。
- 1週間後、耐水ペーパーで盛り上がった部分が平らになるように削ります。粗目から細目へと少しずつ細かくしていきましょう。
- 液体コンパウンドでつやが出るまで磨けば完了です。
タッチペンの注意点
- タッチペンはコンパウンドやワックスでは修復できないような小さな傷に有効です。傷のサイズに合わせてペンの太さを変えたり、割り箸など先端が尖ったものを併用したりすることで、かなり小さなスポット傷までカバーすることが可能です。
- 逆に、広範囲にできた傷や深い傷などは、タッチペンに向いていません。
- タッチペンで傷をなぞるだけだと、かえって傷を目立たせてしまう可能性があります。作業前に脱脂剤で油分を落とすなどの下処理を行い、ボディカラーと同色で、傷口に合ったサイズのものを選ぶようにしましょう。
バンパーの深い傷はパテとスプレーが必要
バンパーにえぐったような深い傷ができたときは、複数の傷消し剤を併用しましょう。錆落としなどの下処理で表面をきれいにしたのち、メインのへこみにはパテ埋めで段差を目立たなくする処理が必要です。
そして、ボディカラーと同色のスプレーを、重ね塗りするように数回に分けて吹き付けることで自然な仕上がりになります。
パテの使用方法
車体のへこみには、コンパウンドと併せてパテを使用するのがおすすめです。小さいへこみなら素早く補修できます。
準備する物
- パテ
- 耐水ペーパー(粗目、細目など数種類)
- 脱脂スプレー
- マスキングテープ・養生テープ
- 液体コンパウンド
- 塗装用カラースプレー
手順
- 車を洗って汚れを落とします。脱脂スプレーなどを使って、できるだけ油分を取り除いておきましょう。
- 周囲が汚れないようにマスキングテープなどで保護します。
- 耐水ペーパーでへこんだ部分をこすり、表面をなめらかにします。
- パテをへこみに塗り込みます。へこみが大きい部分にパテを厚く塗り、へこみがない部分に向かって薄く広げていくときれいに塗れます。
- 塗装面が乾燥したら、耐水ペーパーを使ってパテが盛り上がっている部分を研磨します。表面がつるつるになるまで、耐水ペーパーの粒子の粗さを変えながら磨いていきます。外側から内側に向かって磨くときれいに仕上がります。
- 洗浄して油分を取り、カラースプレーで塗装します。最後に液体コンパウンドでつや出しをすれば完了です。
パテの注意点
- バンパーをぶつけてできた傷など、コンパウンドやタッチペンなどではカバーできない深い傷や大きなへこみは、パテを埋め込むことで表面をなめらかにできます。パテの表面にボディカラーと同色の塗料を塗れば、大きな傷でも自然な仕上がりにすることができます。
- 一方、小さな傷やこすり傷のような浅い傷には向いていません。ただし、深い傷を埋めた後にできた気泡を埋めるための薄づけパテであれば、ごく浅い線傷に使える場合もあります。
- パテを塗り込む部分に油分などの汚れが残っていると、パテが剥がれやすくなります。パテを塗る前は必ず洗車して、耐水ペーパーで古い塗料を落とす、脱脂スプレーなどで油分を落とすといった下処理を行いましょう。
DIY傷消しよりも、板金修理を依頼する選択
気になる傷やへこみを手軽に補修できる傷消し剤ですが、中には補修できない傷もあります。傷消し剤が使えない傷と、対処法をご紹介します。また、仕上がり品質を求めるなら迷わず板金修理業者という選択になります。
塗装の下地が見えたら業者に依頼しよう
車の塗装は、処理剤を施した下地、ボディの色味であるカラー塗装膜、カラー塗装を保護するクリア層の3層構造になっており、車の傷消し剤で補修できるのは、最も表面にあるクリア層と呼ばれている部分です。水をかけると見えなくなる程度の傷であればクリア層が剥がれたごく浅い傷なので、傷消し剤で目立たなくすることができます。一方、水をかけても見えたり、下地が見えたりしている傷は、傷消し剤でカバーすることができません。この場合は業者に依頼して直してもらいましょう。
ただし、ボンネットの飛び石など、局所的な深い傷であれば、DIY修理も可能です。
大きな歪みやへこみは板金塗装が必要
塗装技術の向上により、塗装膜が非常に薄い車も増えています。ボディカラーもソリッド色にメタリックを微妙に混ぜるなど複雑な色合いになっているため、浅い傷でも、傷消し剤を使うことでかえって目立つ場合があります。仕上がりにこだわるなら、業者に依頼して補修してもらうことをおすすめします。特に大きな歪みやへこみなどは、板金塗装ができる業者に依頼する必要があります。料金はかかりますが、衝撃による歪みもきれいに直してもらえます。
板金修理業者
小さな傷から大きな傷まで、へこみ、事故による損傷など、基本的にプロにお任せのケースが多いでしょう。
新車購入後の傷は、気になってしまうものです。やはり、一定のクオリティを求めるなら費用が掛かっても業者にお願いするのが無難です。
業者委託のメリデメ
- 専門技術と機材を用いて仕上がりがきれい
- さまざまなタイプの傷に対応している
- 小さい傷でも場合によっては修理代が高い
- バンパー等は部品交換となるケースも多い
プロでもカーコンビニ倶楽部など、予め修理額を提示した範囲で行うサービスもありますが、過度なクオリティを求めないのが重要です。
業者依頼の方法
車の傷消しはディーラーやカー用品店、ガソリンスタンド、整備工場などに依頼することができます。知識と技術を持ったプロの整備士が作業するため、仕上がりの状態がよく、傷やへこみはほとんど目立たなくなります。業者では、ボンネットやフレーム、ドア、フェンダーなど、ボディのさまざまな箇所にできた傷やへこみに対応していますが、板金や塗装が必要な大きな傷を消す場合は専門技術が必要なため、ディーラーやガソリンスタンドなどでは取り扱えない場合があります。
比較的軽い傷やへこみであれば、費用は数千~数万円で収まることが多いです。ただし、ボンネットやドアなどに大きな傷が入った場合はパーツ交換となることがあります。その場合は10万円を超えることもあります。
まとめ
修理費用を安く、簡易的に目立たなくするだけであれば、DIYによる傷消しでも良いでしょう。
仕上がりのクオリティを求めるなら、プロに修理を依頼しましょう。