
中国は世界最大の自動車市場であり、BMWにとっても最大級の戦略拠点です。本記事ではBMWの中国戦略を中心に、メルセデス・ベンツ、アウディ、VWグループ、さらに日本メーカーの動向を比較しながら、2025年以降の中国市場の構造変化を読み解きます。
中国との合弁企業の概要(BMW Brilliance Automotive)
BMWは2003年、中国の華晨汽車(ブリリアンス)との合弁によりBMW Brilliance Automotive(BBA)を設立しました。
瀋陽を生産拠点とし、3シリーズ、5シリーズ、Xシリーズ、iX3などを現地生産しています。
2018年には外資規制緩和を受け、BMWは合弁出資比率を引き上げ、経営主導権を強化しました。これは外資系完成車メーカーとしては象徴的な出来事であり、中国市場への長期コミットメントを示すものです。

ここ10年のBMW中国市場シェアの推移
2010年代後半から2022年頃まで、BMWは中国プレミアム市場で安定した成長を続けてきました。メルセデス、アウディと並ぶ「ドイツ御三家」の一角として、年間70万台前後を販売する年もありました。
しかし2023年以降、中国経済の減速、不動産不況、そしてBYDをはじめとする中国EVメーカーの急成長により、BMWの販売は伸び悩み、シェアも横ばい〜微減傾向にあります。
2025年以降のBMWの中国戦略
2025年以降、BMWは中国市場で以下の方向性を強めると考えられます。
- 次世代EV「ノイエ・クラッセ」の中国投入
- 中国向け専用ホイールベース・装備の継続
- 中国IT企業とのソフトウェア・自動運転連携
- 価格競争よりもブランド価値と走行性能重視
特に中国では「後席重視」「デジタル体験」が重要であり、BMWは走りのブランドイメージと中国ニーズのバランスに苦心しています。
CO2規制強化をふまえたBMWの動向
中国ではNEV(新エネルギー車)規制とデュアルクレジット制度により、EV・PHEV比率の達成が事実上義務化されています。
BMWは中国でのEV生産を拡大することで、罰金やクレジット購入に頼らない体制構築を目指しています。
中国製BMWのEV輸出は難しいのか
結論として、中国製BMWのEV輸出は「技術的には可能だが、政治・市場要因で制限されやすい」と言えます。
iX3は欧州向けに中国から輸出された実績がありますが、米国では関税・地政学リスクが障壁となっています。
中国製BMWの日本向け輸出はあるのか
日本市場では現在、中国製BMWが前面に出て販売されている状況は限定的です。
日本の消費者は「生産国」を強く意識する傾向があり、ブランドイメージ維持の観点からも、BMWジャパンは慎重な姿勢を取っています。

メルセデス・ベンツの中国市場動向
メルセデス・ベンツは北京汽車(BAIC)との合弁を軸に、中国を世界最大の販売市場としています。SクラスやEクラスのロング版は中国市場専用とも言える存在です。
一方でEVブランド「EQシリーズ」は中国では苦戦しており、高価格帯EVは中国メーカーに押される形となっています。
2025年以降はEV一本足打法を修正し、ICE・PHEV併存戦略へ回帰する動きが見られます。
アウディの中国市場動向
アウディはVWグループ内でも最も早く中国に進出し、長年プレミアム市場でトップを走ってきました。しかし近年はBMW・メルセデスに押され、存在感が相対的に低下しています。
現在はFAWとの既存合弁に加え、中国EVメーカーと連携した新EVブランド構想など、構造改革期にあります。
VW(フォルクスワーゲン)グループの中国戦略
VWグループは中国最大の外資系自動車メーカーであり、VW、アウディ、ポルシェなど幅広いブランドを展開しています。
しかしIDシリーズを中心としたEV戦略は中国市場で苦戦しており、ソフトウェア開発力やUI/UXで中国勢に後れを取ったことが要因です。
2025年以降は「中国で開発し、中国で売る」体制への転換を進めています。
日本メーカー(トヨタ・ホンダ・日産)の中国動向
日本メーカーは中国市場で総じて苦戦しています。
ガソリン車依存度が高かったこと、EV化の遅れが影響しました。
- トヨタ:BYDとの協業、bZシリーズ投入で巻き返しを図る
- ホンダ:中国専用EVブランド立ち上げで再構築中
- 日産:e-POWERの限界が見え、EV戦略再定義が課題
日本勢は「品質・耐久性」では評価が高い一方、中国市場が求めるデジタル・コネクテッド領域で遅れを取っています。
よくある質問(FAQ)
中国市場は今後も重要なのか?
はい。成長率は鈍化していますが、絶対規模が大きく、EV・ソフトウェア主導の技術競争の最前線である点は変わりません。
中国製EVは日本に本格流入するのか?
価格競争力は高いものの、安全規制、ブランドイメージ、政治要因から本格流入には時間がかかると見られます。
まとめ
BMWをはじめとする外資系メーカーにとって、中国市場は「成長市場」から「選別される競争市場」へと変化しました。
BMWはブランド力と走行性能を軸に一定の地位を維持していますが、中国メーカーのEV・デジタル競争力は想像以上に強く、2025年以降は各社の戦略修正能力が生死を分ける局面に入っています。


