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BMWの半導体、部品供給の不足による納期遅延とは

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BMファン君
BMファン君

BMWも近年の半導体や部品供給難により、生産、納期遅延が発生しています。また、標準仕様やオプション装備がカットされたり、モデルの整理統合も発生しています。その理由と今後の動向を解説します。

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BMWのフルラインナップ路線が裏目に

1シリーズから8シリーズまで、SUVもX1シリーズからX7シリーズに加えて、Z4ロードスターをラインナップしています。
BEV専用車もエントリーモデルから最上級車までを用意し、ユーザーのきめ細やかなニーズに応えています。

拡大路線とニッチ戦略

ニッチとは:ニッチ市場を持つ規模の小さい市場のこと。狭義には、その中でも商品やサービスの供給・提供が行われていない市場とされる。隙間市場(すきましじょう)ともいう。

2010年以降、これらの拡大路線により、矢継ぎ早にモデルラインアップを拡大してきました。
「グランクーペ」「グランツーリスモ」に加えて、8シリーズやX2、X7といった新モデルの追加を行い、「M Sport」グレードを拡充し、「隙間(ニッチ)」を埋める事で、販売台数を拡大する戦略となっています。また、Mモデルの拡充などより、利益の高いモデルを強化している傾向もあります。

電動化による負荷が路線変更のキッカケ

ただし、近年の電動化移行により、トヨタやVWなどの大手メーカーでもモデル数を削減しています。500万台超えの大手メーカーよりも生産規模が小さいBMWやメルセデスです。
年間生産台数200万台以下の中規模メーカーにとっては、このフルラインナップの維持が生産効率上の負荷となっています。

エンジンやシャーシの共通化

以前は、新型モデル毎にプラットフォームを開発しており、開発コストや開発期間にムダが発生しました。近年では、トヨタのTNGAが有名ですが、欧州車では、TNGAよりもだいぶ以前からプラットフォーム、部品、エンジンの共通部品化を進めています。

プラットフォームの共通化

この共通化コンセプトの設計でプラットフォームやエンジンを規格しておくことにより、モデルの派生車種を増やす事が、以前と比べて容易になりました。

主要部品のコストダウンによる共通化により、セダン、ツーリング、4ドアグランクーペ、4ドアグランツーリスモ、2ドアクーペ、SUVなど、上乗せボディや足回りを変更することで、モデルバリエーションを簡単に増やせるようになったことが背景にあります。

エンジンや駆動系部品の共通化

  • エンジン1気筒あたりの排気量を500ccとして共通化し、シリンダー数を3・4・6気筒に増やすモジュラー型エンジンの採用。
  • ZF製の8速ATと7速DCTに統一化
  • 48Vマイルドハイブリッド、PHEVシステムのeアクスル化

インテリアパーツの共通化

  • カーブドディスプレイ採用により、上級車とエントリーモデルの2タイプ切り分け
  • 部品の集約化、部品点数削減

生産効率の向上

部品の共用化だけでなく、モデルやグレードが異なるクルマを同じ生産ラインで組み立てることが可能となり、より細かい顧客ニーズに対して短い納期で対応できるように整ってきたことも要因です。

グランツーリスモ、クーペのニッチモデル

4ドアクーペ、車高の高いグランツーリスモなど、一般的な4ドアセダンに飽き足らないユーザーのニーズを捉え、サッシュレスの4ドアタイプが設定されています。
根強いに人気はあるものの、世界の国や地域毎に売れ線の好みや販売数が異なりますが、主力モデルほどの人気はありません。
また、2ドア、4ドアに関わらずクーペモデルは、もともと数を売るモデルでないため、販売からユーザーサポートまでの維持コストも負荷となります。

半導体の部品不足の影響による生産絞り込みが発端

前述の背景に加えて、モデル削減に大きな影響を及ぼしたのが半導体不足です。

半導体不足の理由

  • 東欧紛争影響によるサプライチェーンの混乱
  • 世界規模での自動車半導体の部品不足
  • 半導体を用いた各種専用部品の不足

半導体不足の結果

  • 部品流通の遅延
  • 部品が足らないことで、完成車両の製造ラインが止まる結果に
  • 結果、新車の生産が滞り、新車が買えない、納期遅延に
  • 部品が足りず、標準仕様をカットしてでも、間に合わせる暫定対応
  • 仕様を削ったり、売れ線モデルへの絞り込みなどの対応も実施

部品入手先の多角化、複数の代替部品を利用可能とする設計変更なども実施されています。

それでも、足りない部品が日々発生しており、標準装備品を削るなどの仕様変更が発生し、本来絶対必須とも言える装備品にまで影響している状況が発生しています。

納期遅延、部品不足によるユーザー影響と対策

納期遅延

世界的な半導体・部品不足、サプライチェーンの遅延により、自動車生産自体が遅延しています。この状況は諦めるしかないでしょう。納期の早い車種へ変更するなどの購入計画の変更も必要です。

  • 注文前であれば、納期の目安を確認しておきます。
  • 注文後の大幅な納期遅延が予想される場合は、キャンセルや代車の確保等、事前に確認しておきましょう。

部品不足の対策

特に半導体を使用した装備がカットされるなど、標準装備として当たり前のような装備が削られていたり、写真と異なる部品が装着されるケースもあります。

  • 契約車両が生産済であれば、装備内容の差異は、事前に確認できるでしょう。
  • 契約後、装備品のカットや変更が発生する可能性もあります。特に必須とする装備がカットされる場合は、キャンセルなども視野に入れた対応が必要でしょう。

インポーターの販売戦略が、選択肢を狭める結果に:まとめ

その結果、本国欧州仕様や北米仕様には設定されているであろう、欲しいモデルやグレード、オプションが、日本仕様では購入できない問題が発生しています。

最新の生産遅延、仕様変更

BMWの生産遅延、仕様変更について

希望のグレードが無いため、当該車種の購入を諦めるか、我慢して納車を急ぐのか、厳しい選択を迫られている状況です。焦らず慎重に選んでいただきたいと思います。

エントリーモデルはガソリン車を用意すべき

日本では、2023年3月以前において「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の対象となっており、補助金や燃費の良さからディーゼル車を主としていました。
しかし、クリーンディーゼル車は、令和5年4月1日以降の新車新規登録(新車新規届出)は対象外となりました。 

現在、ディーゼル車が一番の売れ線車種となっていますが、補助金が無くなったことで戦略の変更が必要です。特にエントリーモデルは、全モデルについてガソリン車も用意すべきでしょう。
BMW顧客の全員がディーゼルを望んでいるわけではないのです。
過去、ガソリン車をラインナップしていたモデルは早急にモデル復活を望みます。

半導体・部品供給難による生産遅延および仕様変更

最近の自動車は、電動装備品が増えており、何らかの半導体が組み込まれています。
昨今の部品不足や供給難により、標準装備品を提供できない事態となっています。
サプライチェーンの影響から部品をカットしてでも車両供給を優先するのも理解できます。

主要標準装備品が供給できない事態が発生(抜粋)

※対象車種などの詳細はディーラーにて、ご確認ください。モデル、グレード、生産時期などにより、異なる場合がございます。

  • パーキングアシストプラス
  • ランバーサポート
  • トランクのスマートオープン(さすがにBMWレベルには無いと厳しい装備)
  • アクティブプロテクション
  • アダプティブMサスペンション
  • アクティブステアリング(これは痛い。大きな車は無いと困る装備)

特に5シリーズ以上では、アクティブステアリングは狭い日本の駐車場では欠かせない装備です。
トランクのスマートオープンも最近のハッチバック車や高級車として当たり前の装備となっています。他の欧州メーカー全般に波及している汎用部品であれば、諦めるしかないのですが、早めの復活を望みます。

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