BMWブランディングとしての「駆け抜ける喜び」の意味とは

(Last Updated On: 2019年1月27日)

BMWブランドを支えるキャッチコピー


自動車のブランドイメージをこれほど的確に捉え、形容したキャッチコピーは無いかもしれません。
「駆け抜ける喜び」は、日本語訳ですが、BMWが得意とする50:50の重量配分のハンドリングや直6エンジンなどBMWブランドを確立に役立っています。
キャッチコピーとして数十年使われ続けており、今後も語り継がれるコピーとなるでしょう。

喜びを明確化するハンドリング


1990年代までのBMWラインナップはFRを中心とした車種で構成されており、高速安定性と軽快なハンドリングは、他のFR車とは異なるものでした。
特にエンジンを車体中心に設置して重量配分を50:50に近づけたハンドリングはBMWならではの世界観を生んでいます。
また、直6エンジンの回転フィールをシルキーシックスと呼ぶなどのエンジンを回す喜びもあります。

近年では、ライバル勢のBMWをベンチマーク化した研究開発により、その独自性は薄れてきています。
しかし、4WDやFFモデルでも感じられるハンドリングは、BMWならではのものです。

リヤウィンドーのステッカー

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リヤウインドウに張られているステッカーに「Freude am Fahren」又は日本語で「駆けぬける歓び」と書かれている。
それが、メーカーのイメージ・コンセプトでもある。

ドイツ語の読み方と意味

  • ドイツ語の「Freude am Fahren」を和訳すると「究極のドライビングマシン」になるのが最新グーグル先生である。
  • 単語別には「Fahren」は「ドライビング」、「Freude」は「喜び」となり、「運転する喜び」という意味でもあります。
  • ちなみに「駆け抜ける歓び」をドイツ語訳すると「Freude Fahrt durch」となり本国とは意味が異なります。

EfficientDynamics

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2008年10月より、ステッカーが「EfficientDynamics」に変更されました。
エンジンの限られたパワーを高効率、かつクリーンに、ダイナミズムを損なうことなく、環境性能を高め、
全車で最新の省燃費技術を搭載し、CO2を削減する技術です。
さらに、駆け抜ける歓びも追求する高次元のコンセプトとしています。

BMW-i3

「駆けぬける歓び」は今の生き続けている

「Freude am Fahren」や「BMW EfficientDynamics」のキャッチフレーズに2008年から変わりました。

しかし、BMWとしてはモーターショーなどで「駆けぬける歓び」のフレーズを全面に掲げています。
これは、日本でも浸透したイメージになっているからです。
EfficientDynamicsから今一つイメージが掴みにくいステッカーですが「駆けぬける歓び」からはBMWの走りのイメージが連想されるのです。

SUVモデルの強化、ダウンサイジングターボ化したエンジン、回生ブレーキや燃費の大幅向上、ディーゼル車の日本導入などにより市場は刻々と変化しています。
時代に対応したBMW車の中で走りの楽しさは失われていません。

ネット上では「駆けぬける歓び」が失われたなどという説もあるようですが、実態として時代に合わせて変貌を遂げ今も生き続けているのです。

クリスバングルのデザイン改革は成功した

クリスバングルのデザインによるE65の7シリーズは、デザイン的に好き嫌いが激しく分かれるほどのインパクトのあるデザインでした。
しかし、それは市場に好まれ先代E38の7シリーズよりも販売台数を伸ばします。

他メーカーがE65(7シリーズ)やE60(5シリーズ)の影響を受けて、車両デザインを大胆に改革させていったのは事実です。
LEDライトなど他メーカーからの影響も少なからずあるでしょう。

この大胆なデザイン改革路線は、F世代となっても止まっていません。
グリルと繋がるライト、丸いイカリングライトから、半円化・異形化したイカリングは、新たなデザインチャレンジとなります。
決して保守的化したなどという表現は全く当てはまりません。

モデルの拡大、デザインの多様化、FF化

ホンダが、ミニバンと軽自動車に参入したり、企業として拡大する以上、従来のブランドイメージからの脱却も避けられない状況が発生します。

BMWでも1990年代モデルから2000年に入り、保守的なデザインを捨てて、革新的なデザインが取り入れられました。
4代目7シリーズ(E65)のクリスバングル氏のデザイン改革路線は経営陣の指示でもあった訳です。
結果的に販売台数は世界的に上向きとなり成功を収めています。
革新的なデザインを受け入れられない層(E46,E39世代)も販売台数的に成功を収めた点や他メーカーデザインに影響を与えた点は見過ごすことは出来ません。
他の欧州メーカーも大胆なデザイン路線となり、今後も保守的なデザインからのチャレンジを求められます。

また近年のFF化も小型モデルではFRレイアウトがデメリットとなるケースがあり、サイズ的にFFとFRの切り分けは合理性からも避けれない所でしょう。
家族構成やライフスタイルの多様化は、2シリーズも市場は受け入れており、従来BMWユーザー以外のユーザー獲得にも繋がっています。

直6NAエンジンの消滅と4気筒ターボ化

一方で、直噴燃料噴射の発展より、ダウンサイジングターボが全盛となり、NAエンジンが淘汰されてしまいました。
シルキーシックスエンジンとしての直6NAエンジンもその流れに逆らえませんでした。
6速ATから、8AT化が進みダウンサイジングターボのエンジンによる「EfficientDynamics」が完成しました。
実際に直6NAから直4ターボに乗り換えてみると、最初の音については違和感を覚えるものの充実した低速トルクとスムーズな8ATにより、新エンジンとATも市場に馴染むのに時間はかかりませんでした。

新時代の「駆け抜ける喜び」

トヨタとBMWの提携は、出遅れたハイブリッド分野でBMWがトヨタに協力を仰いだものではありませんでした。
近年では、BMWの電気自動車やプラグインハイブリッド車のラインナップがトヨタや日産の比ではなく、むしろ進んでいることがわかります。
トヨタの車体モジュール(TNGA)やエンジンのモジュール設計においてもBMWの方が実施時期が早かったことです。

実際に「FRハンドリング=駆け抜ける喜び」が薄れたと2シリーズ(FF駆動)を見て嘆いている論調もありますが、BMWの先進思想はユーザーの期待を裏切りません。
むしろ、トヨタスープラがBMW Z4ベースであることが、BMW・トヨタ提携の結集であるとも言えるのです。


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