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BMW V型12気筒エンジン型式 スペック

総合情報・全モデル
BMファン君
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BMW製のV型12気筒エンジンの型式別仕様、スペック(SPEC)や特徴、搭載車種など、エンジンラインナップ解説します。

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BMW V12型エンジンの概要

V型12気筒エンジンは、レシプロエンジン等のシリンダー配列形式の一つで、シリンダーの配置がV字型のエンジンにおいて片バンクに6気筒ずつ合計12気筒になる事からV12と呼ばれます。
BMWの場合、直列6気筒部分を共用した設計としています。1986年からBMWが製造した開始したV型12気筒エンジンは、M70、M73、N73、N74、N84のラインナップになります。
「エンジン屋のBMW」のファクトリー群の中、V12エンジンの専用工場で技術と拘りを盛り込んだ究極のエンジンです。圧倒的なパワーとウルトラスムーズな回転フィールは、BMWのトップモデル・フラッグシップモデルに搭載するエンジンにふさわしいエンジンです。
V12エンジン最新エンジンでは、最新テクノロジーが惜しみなく投入されています。ロールスロイスに搭載のエンジンもBMW製V12がベースです。水素ハイブリッドのハイドロジェン7のベースにもなっています。
サウンドや回転フィールの演出も、国産車とは違ったBMWの世界を堪能できるエンジンです。

なお、自動車用以外としては、1920年代の大戦時中、BMWはドイツ主要航空エンジンメーカーであり、(BMW VI型)液冷式V型12気筒の航空用エンジンが存在していました。

BMW V12型エンジンの歴史

初代エンジンの登場は、1987年のM70型V12エンジンです。

第一世代から第四世代まで

  • 第一世代としては、第二次大戦後のドイツ車で初のV型12気筒エンジン搭載車は、E32のM70エンジンです。M70は1987年から1994年まで製造されています。
  • 第二世代は、E38に搭載されたM73です。
  • 第三世代は、E66に搭載されたN73です。
  • 第四世代(現行)は、F02に搭載されたN74で、何れのV12も緻密でウルトラ・スムーズ且つパワフルなエンジンに仕上がっている。

M73は、1999年度のInternational Engine of the Year(4L以上の部門)を受賞しており、1998年にはロールスロイスのシルヴァーセラフに搭載されました。
水素V12エンジンスーパーカーのフェラーリやランボルギーニ、超高級車のロールスロイスとしては、V12エンジンは存在していましたが、高級セダン用途としてはBMWが初となります。その成功がきっかけとなり、メルセデス・ベンツやアウディ(VW)でも12気筒エンジンを搭載した車が開発され、市販化されていきます。

マクラーレンF1に搭載のV12

1990年には、M70型エンジンをベースに、そのスポーツ・バージョンのS70型に発展しています。初期のS70/1型では、BMW M8のプロトタイプに搭載されます。このS70/1の詳細なスペックは公表されていませんが、排気量は約6.0Lに拡大され、410kW(558PS)という高出力でした。
S70/1型は、S70/2型に発展し、市販スポーツカーの「マクラーレンF1」に搭載されることになります。このS70/2型は、6064cc、DOHC4バルブ、86mmX87mm、627PS、66.3mkgという驚きのエンジンでした。

BMW V12 LMR

BMW・V12 LMRは、1999年のルマン24時間耐久レース向けとして、BMWとレーシングチームのウイリアムズが共同開発したレーシングカーです。
BMW単独のマシンとしては初のル・マン総合優勝を飾ったマシンとなります。

  • カーボンファイバー製モノコックシャーシ:900kg未満
  • エンジン:BMW S70/2型5990cc V12気筒NA
  • 駆動形式:ミッドシップ、エンジン横置き
  • 駆動形式:6速シーケンシャルMT

25周年記念

2012年にはV12エンジンの25周年を記念した、7シリーズの特別モデルがアメリカで15台限定で販売されました。

35年の歴史に幕

2022年、G11型7シリーズに搭載された、最終モデル「M760iファイナルV12」が最後となります。搭載されるエンジンは、V12気筒48バルブDOHC直噴ツインターボです。

  • エンジン形式:N84B66C
  • 最大出力:609ps/5,500rpm
  • 最大トルク:86.7kgm/1,550 – 5,000rpm
  • 駆動形式:xDrive(4WD)、8AT
  • 0-96km/h:加速3.6秒

ロールスロイスに活躍の場

時代背景として、内燃エンジンはダウンサイジング化、電動化が進み、アッパーサルーンと言えどもエコ化の流れにV12エンジンは合わなくなってきたようです。生産コストが高く、サイズも重量も大きいことから次第に数を減らしていきました。環境性能が重視される風潮も手伝って、燃費や温室効果ガス排出量で劣るV12エンジンは貴重な存在となっていきます。
BMW搭載車としては、G11型7シリーズが最後となりましたが、BMW製V12は、ロールス・ロイスのゴーストやレイスなどがV12エンジンを採用しています。

V12エンジンのスペック一覧

M70B50型エンジン

M70B50型スペック
エンジン 60度V型12気筒SOHC24V
総排気量 4988
最大出力 300ps/5200rpm
最大トルク 45.9kgm/4100rpm
圧縮比 8.8
給排気デバイス Lジェトロニック電子燃料噴射装置、デジタルモーターエレクトロニクス(DME)
シリンダーブロック
重量 280kg
特徴 M20型の直列6気筒シリンダーを60度のV型バンクで連結したV12気筒構造である。
搭載モデル
  • 7シリーズ:E32 750i/iL
  • 8シリーズ:E31 850i

M73B54型エンジン

M73B54型スペック
エンジン 60度V型12気筒SOHC24V
総排気量 5379
最大出力 320ps/5000rpm
最大トルク 49.1kgm/3900rpm
圧縮比 10.1
給排気デバイス Lジェトロニック電子燃料噴射装置、デジタルモーターエレクトロニクス(DME)
シリンダーブロック
重量 280kg
特徴 M70型の排気量拡大、チューニング版
搭載モデル
  • 7シリーズ:E32 750i/iL
  • 8シリーズ:E31 850Ci

N73B60A型エンジン

N73B60A型スペック
エンジン V型12気筒DOHC48V
総排気量 5972
最大出力 327kw/445ps6000rpm
最大トルク 600Nm/61.2kgm/3950rpm
圧縮比 11.3
給排気デバイス ダブルVANOS・バルブトロニック・直噴
シリンダーブロック アルミニウム
重量 —kg
特徴 水冷式オルタネータ、10/15モード燃費は5.4km/l
搭載モデル
  • 7シリーズ:E66 760Li

N74B60A型エンジン

N74B60A型スペック
エンジン V型12気筒DOHC48Vツインターボ
総排気量 5972cc
最大出力 544ps/5250rpm
最大トルク 75kgm/1500-5000rpm
圧縮比 10.0
給排気デバイス
  • ダブルVANOS
  • バルブトロニック
  • 直噴ツインスクロールターボ(ツインターボ)
シリンダーブロック アルミニウム
重量 —kg
特徴
  • 8AT
  • エネルギー回生システム
  • 10/15モード燃費は5.4km/l
  • JC08モード:6.4km/l
  • 燃料タンク:80L
搭載モデル N74B60A型V12エンジン

  • 7シリーズ:F02 760Li

N74B66B/C型エンジン

N74B66C型スペック
エンジン V型12気筒DOHC48Vツインターボ
総排気量 6591
最大出力 609ps(448kW)/5500rpm
最大トルク 86.7kg・m(850N・m)/1550~5000rpm
圧縮比
給排気デバイス ダブルVANOS・バルブトロニック・直噴ツインスクロールターボ(ツインターボ)
シリンダーブロック アルミニウム
重量 —kg
特徴
  • 8AT
  • xDrive(4WD)
  • エネルギー回生システム
  • WLTC燃費:6.7km/l
  • 本エンジンがBMW最後のV12搭載モデルとなった。(2022)
搭載モデル
  • 7シリーズ:G11 M760Li xDrive