最近、CAN INVADER(CANインベーダー)という、盗難手法が話題になっています。BMWに対して、この対策は施されているのでしょうか。実情と対応策について解説します。
トヨタ、レクサスに多い盗難状況
盗難比率の高い、トヨタランドクルーザー、プリウス、レクサスLX/RX、アルファードです。年式により差があるかと思えば、最新アルファード(2023年モデル)が盗まれるニュースも流れています。
最新のトヨタ、レクサス車がCANインベーダーに対して、全くの無策であるため、犯罪側に解読され、あっと言う間に盗難被害に合っているのが実情です。
現時点、BMWもメルセデスも「CAN」による車載コンピュータ制御・通信機能を搭載していますが、インベーダー(CANハッキング)に対して、犯罪側への何らかの抑止力が効果的に機能していることが数字的にもが明確です。(これはメーカー側としても当然の義務であると言えます)
だからといって、盗難ゼロとは言えませんので、ユーザー側の対応策が必要です。
BMWの盗難状況
現在、3つの盗難手法があるようですが、それぞれ盗難に合っている事例があるようです。
- リレーアタック(リモコンキーの電波を増幅機を通して盗み、ドアロック開錠を行う)
- コードグラバー(リモコンキーを複製し、スペアキーが作られ盗む手段)
- CANインベーダー(車体の部品を外して、車両内の配線にアクセスし、車両のコンピューターを操作して盗む手段)
BMWの盗難率・調査結果
損害保険協会の調査したデータになります。車両としては圧倒的にトヨタ・レクサスが狙われている実態となっています。
BMWとしては、車両盗難率はベスト10ランキングに登場していません。
車上あらし(車内の金品・物品や車両装備品の盗難)には登場しています。
国産量販車が多い傾向ですので、BMWが特別に盗難に遭遇しやすい傾向ではありませんが、車内に目立つ金品やバッグを置いたまま、車から離れることは避けることで防止できます。
リレーアタックとは
昨今、話題になっているリレーアタックについては、こちらで解説しています。
コードグラバーとは
コードグラバーは「Code:コード」を「Grabbing:グラッビング」をベースとした造語になります。リモコンキーやスマートキーが操作中に発進されているIDコードの電波を傍受し、IDコードをコピーして車を解錠するという盗難手法です。
スマートキーを複製され、スペアキーを複製してしまうイメージのであり、ドアロックの解除から、エンジン始動まで全て行えてしまいます。
メーカー・ディーラー向けの保守用「スペアキー作成機器」を転用・悪用したものと推測されており、この方法だと、防ぎようがありません。
コードグラバーを防ぐ
リレーアタック同様、リモコンキーの電波が盗まれないようにすれば良いです。ユーザーの自衛策としては「リレーアタックとは」の項目を参照ください。
また、ディーラーや整備工場、車ショップ以外、信頼のおけない業者などに車を預けないことです。
最近、カーシェアなども流行っています。特に盗難車として人気車種の利用が多い方へのシェアは、危険かもしれません。コードグラバーのリスクを考慮した上で、カーシェアを利用することが必要です。
CANインベーダーとは
最近の車は、車の通信システムとして、CAN通信という規則に従って車両制御を使って行っています。車内には「OBDⅡ(オービーディーツー)」のコネクターがあり、このコネクターに機器を接続し、車体状況の把握やメンテナンスを行っています。通常は、ドアを開けてからコネクターにアクセスするのが普通です。
CANインベーダーとは、バンパーやタイヤハウスなど、車外から特定の部品を外して、車体配線にアクセスしOBD操作してしまう手法です。キーが無くても車の中枢部にアクセス出来るため、ドアロック解除からエンジン始動まで行えてしまうのです。
これは、現在の車の盲点とも言える部分であり、車載コンピューターを直接ハッキングしているイメージになります。純正キーをコピーする必要が無く、車体の配線へ物理的なアクセスを行い、容易にパスワードを解析されてしまうイメージです。
この仕組みにより、犯罪者は純正キーが無くても盗む事が可能となります。
最新のCANインベーダーとは
従来は、ドアロック解除機器と、エンジン始動機器に分かれていました。
- エンジンルームやバンパー内を通るCAN配線へ、強引に接続し、ドアロックを解除
- 車内のOBDⅡコネクタに機器を接続するなどしてエンジンを始動
- 2段階を経由するため、手間と時間が掛かっていた
最新の新型CANインベーダーは、従来機能がハイブリッド化し、機器の価格も低下しているそうです。
- 配線に割り込ませればセキュリティ解除とエンジン始動の両方が可能
- さらに短時間での犯行が可能に
- CANインベーダーの対応車種も続々と増え、イタチごっこの様相です。
このような犯罪に使える機器の輸入販売自体を取り締まるべきですが、現在そこまでの法的な制限が実施がされていないのが状況であり、自己防衛するしか手段がありません。
CANインベーダーを防ぐ
国内ではランクルやアルファードやレクサス、トヨタハイブリッド車の盗難事例が多いようです。
BMWも考慮していて、部品を外しても重要配線にアクセス出来ない対策は取られているようです。
ただ、安心は出来ませんので人気の高年式車について、防犯対策が効かない駐車場などでの長期駐車は注意が必要でしょう。
CANインベーダーの社外品対応システム
最近のネットバンキングやサブスクリプションでは、パスワードカードやスマートフォン認証など、メインのパスワードが盗まれても大丈夫なように、二重の防止対策の仕組みが施されています。
CANインベーダーでは、一次パスワードを容易に解析するシステムが作られてしまいました。
この対策として、二次パスワードの仕組みを設けて、システムを無効化する仕組みです。
社外品の車両セキュリティーシステムでは、二次パスワードの追加システムが市販化されています。
「IGLA/AUTHORALARM」「IGLA2/AUTHORALARM」などの製品がこれに該当します。
より高度なセキュリティーシステムをご検討されている方にお勧めします。
オーナーの防衛対策
特に盗難比率の高い車にお乗りの場合は、自衛策が必要です。
盗難させない抑止効果
- セキュリティシステムのステッカー(視覚効果)
- ハンドルロック(物理的効果)
- ホイールロック(物理的効果)
ホイールロックは、FR車の場合後輪が有効です。
窃盗の手口にはトラックで牽引して持っていくという荒技もあるようです。
牽引はFR車の場合、前輪を持ち上げますので、後輪に付ければ牽引時に支障をきたす為、有効に機能します。
電波を盗まれないための対策
- キーの保管をしっかりと行う(電波遮断)
車両保管・管理上の対策
- カーシェアの利用者に注意
- 知人や業者に車両を預ける場合の注意
- 人目につかない駐車場に注意
盗難されない車種とする対策
- 不人気車、不人気カラーを選ぶ
- 中古車価格が200万を切る車両は、盗難率が減るようです。
万一の盗難に備えた自動車保険
車両保険に加入いていれば、時価額相当の保険金が支払われます。特に買ったばかりの車が盗難にあえばショックも大きいでしょう。もしものための自動車保険、車両保険の見直しをお勧めします。
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CANインベーダー対策のまとめ
車両の外部から、配線にアクセスするという、作業が行えないよう、駐車場そのものに防犯機能が必要になります。盗難者に対して、駐車場への進入を防ぐ対策こそが、最大の抑止効果になります。
何をしてもプロ相手には無駄だと言う人もいますが、目に見える視覚的効果や物理的なロック対策を行い、解除に時間が掛かる事を想定させ、悪意のあるプロ集団の戦意を喪失させることが有効です。
- ホイールロックガード
- ハンドルロックガード
- 駐車場のアコーディオンフェンス(鍵付き)、無ければ音の出るチェーンも有効
- 駐車場を照らすLEDライトや侵入者アラーム
- 過剰な防犯カメラ、ダミーカメラの設置
- セコムステッカー、セキュリティーシステムのステッカー(ダミーでも可)
ハッキング防止装置による盗難防止
ODB2のコネクターに直接アクセスして、直接ハッキングされても、外部操作を不可とする機器を追加するイメージです。犯罪者側にとっては、短時間で追加機器を見つけて外したり、解除することが出来ずに盗難を防ぐことができます。製品名はAuthor Alarm社の下記になります。
- 車内の侵入を防ぐ:KEYLESS BLOCK(キーレスブロック)
- エンジン始動と動力伝達を不可とする:IGLA(イグラ)
- ドア解除とエンジン始動の両方を不可とする:KEYLESS BLOCK & IGLA
盗難防止グッツによる心理的・物理的効果
イモビカッターやリレーアタック、CANインベーダーなどのハイテクな盗難対策に対して、やはり、ローテクな物理対策(ローテク対策)グッツが非常に有効となります。
これは、物理的なハンドルロックやホイールロックなどにより、視覚的に防犯対策が施されていることをアピールし、犯罪行為を抑止するものです。