ランフラットタイヤは、パンク修理可能です。その判断ポイントを解説します。
ランフラットタイヤはパンク修理可能の概要
結論からいうと、ランフラットタイヤで空気圧が70kPa以下での走行していなければ、パンク修理可能です。ノーマルタイヤでも空気が抜け、自重でタイヤを潰してしまうようなケースは、再使用不可です。
ネット上、ランフラットタイヤのパンク修理不可であるような、誤ったページがまだまだ多いのですが、タイヤの空気が抜けていない状態(警告灯点灯無し)であれば、ほぼ修理可能と言っても良いでしょう。
ランフラットタイヤはパンク後に何キロ走れるのか?
パンクなどによって空気圧が0(ゼロ)になった状態でも80km/hの速度で80kmの距離を走行することができます。
ポイントは、瞬間的なパンクが発生してもタイヤとしての機能を保ち、空気圧の警告灯が付いていなければ、問題なしと判断できるのです。
パンク修理可能な判断ポイント
空気圧警告灯が点灯していない状態であり、タイヤのトレッド面において、釘やネジを発見したのであれば、パンク修理可能です。ランフラットタイヤが、ノーマルタイヤ同様に、トレッド面で修理可能な範囲(穴の数や大きさ)を満たしていれば、修理可能です。
タイヤのトレッド面のパンクであること
これは、ランフラットタイヤやノーマルタイヤに関係なく、パンク修理出来る部位です。トレッド面に釘やネジが刺さった状態でもチューブレスタイヤの場合は、すぐに空気が抜けない様になっています。
空気圧70kPa以下で走行をしていない事
これは、ランフラットタイヤとしてサイドウォールを使用していないことの判断基準となります。タイヤ警告灯が点いている場合でも、タイヤ空気圧をチェックし「空気圧70kPa以下」となっていなければ、通常のタイヤ内空気を利用して車両重量を支えていることになります。
よって、パンク修理は問題なく行えます。
修理可能な穴と数である事
- 刺さっているクギ・ビスなどの太さが5mm以下であること
- 修理可能な穴の数は、同時に2つ以下であること
上記は、外部からのパンク修理として、許容されているものです。
許容限度を超える場合は、タイヤ交換が必要です。
内面修理の併用を推奨
タイヤ空気圧警告灯が点灯せず、早期にパンクを発見した場合は、外部パンク修理で直るケースが多いです。ただし、外部からの充填剤の対応ミスや圧着力不足により、空気漏れが発生するケースがあります。
この場合も空気圧が「空気圧70kPa以下」以下となっていなければ、外部修理だけでなく、内部修理を併用して修理を行いましょう。
ランフラットタイヤはタイヤ脱着が可能
一回でもホイールに取り付けたランフラットタイヤを取り外すとタイヤのビート部分損傷し、使い物にならないとする、誤った説明のサイトが、まだ存在します。
これは、ランフラット登場当初(2010年頃)の不慣れなショップ対応の噂が広まったものです。2015年以降、最新のタイヤチェンジャーへの入れ替えが進み、これを用いた脱着では、損傷することはありません。市場では、タイヤを再利用し、ホイールのみ変更することなど普通に行われており、ランフラット中古タイヤも普通に流通しています。
よって、ランフラットタイヤ脱着により、タイヤビート部分が損傷することはありません。
内面修理でランフラット走行の損傷が判断可能
パンク修理でランフラットタイヤを外し、内面にヒビやヨレを確認することでランフラット走行の有無が確認できます。
サイドウォール内面の状況を確認することで、再使用可能かを判断できます。
ヒビや割れ、ヨレが無ければパンク内面修理を実施することでタイヤトレッド部を内側と外側からチェック出来パンク修理をより確実なものとすることが出来ます。
パンク修理不可の誤情報に対する質問
ネット上、誤った情報が散見されますので、正しい答えを解説します。
Q:ランフラットタイヤは、パンク修理不可なのか?
A:タイヤの空気圧が一定以上は、パンク修理可です。ノーマルタイヤ同様、外面と内面修理が可能です。(70KPA以上の空気があることが確認できれば良い)
空気が抜けてランフラットタイヤ本来の機能で走行した場合は、再使用およびパンク修理不可です。空気が抜けて走行した場合は、ノーマルタイヤもサイドウォールがボロボロになりますので、ノーマルタイヤもパンク修理できません。
完全に空気が抜けた状態は、ランフラットとノーマルに関係なく、再使用とパンク修理は不可という結論です。
Q:ランフラットタイヤは、取り外し不可なのか?
A:ランフラットタイヤのビート部分は、非常に強い力でホイールに装着しているため、1回の取り外しを行うとビート部が切れて使いものにならないとする説です。こんな商品は売り物になりません。最新のタイヤチェンジャーはランフラットタイヤの脱着を繰り返してもビート部分は損傷しません。2010年以降、ランフラットタイヤ未対応のタイヤショップを見つけるのは難しいぐらいです。不慣れな店員の失敗談が拡散したものでしょう。実績として、パンク修理、ホイール入れ替えも普通に行われていますし、ランフラットの中古タイヤも沢山、流通しています。
Q:大手カー用品店はノーマルタイヤを推奨するのか
A:大手カー用品は、基本的にノーマルラジアルタイヤの在庫がメインであり、そちらを販売したいのです。大手カー用品店のブランドと影響力からすれば、当然メーカー指定に準拠したタイヤを推奨すべきです。しかし、ノーマルタイヤも有りとする内容となっています。また、パンク修理不可と言い切っています。いかに商売優先でノーマルタイヤに履き替えを実施した事例が多かったのかを物語っています。
ランフラットタイヤの性能を活かす正しい交換時期とチェック方法を解説 (autobacs.com)
しかし、そのような時代は、ランフラットタイヤの性能向上と価格低下により終わりを告げました。大手カー用品店といえども、メーカー推奨指定を守り、ランフラットのパンク修理は可能であることを明記する内容へ訂正すべきでしょう。
Q:空気圧は高めの設定が良いのか
ランフラットタイヤの空気圧に関しては、ドアの内側に貼られたシールに空気圧の規定値がありますのでこの数値を守ってください。オーナーズマニュアルにも記載があります。
空気圧が高いと路面とのタイヤと路面の接地部分が中央に集中し、トレッドセンター部の偏摩耗が発生しやすくなり、タイヤの寿命を早め、さらにはパンクを誘発する原因となります。
パンク修理不可のケース
パンク修理不可の判断ポイントを解説します。
空気圧70kPa以下
空気圧警告灯が点灯し、空気を一切入れていない状態で、70kPa以下となっていた場合。その状態では、車の移動有無(駐車時の空気抜けでも)に関わらず交換が必要です。
タイヤのトレッド面に5mm以上の損傷があること
外部内部からのパンク修理が難しい大きさです。
ノーマル、ランフラットを問わず修理不可でしょう。
同時に3箇所以上の釘やネジ刺さりが見られる事
外部内部からのパンク修理が難しい大きさです。
ノーマル、ランフラットを問わず修理不可でしょう。
サイドウォールに亀裂や穴が見られる事
これは、ノーマルやランフラットに関係なく、パンク修理は不可能です。
サイドウォールは、補修が出来ないため、交換になります。
ノーマルとランフラットの再利用率
ランフラットタイヤは、ノーマルタイヤ同様に、パンク修理が出来ます。
ノーマルタイヤでは、パンクして空気が抜ければ、自重(車重)でタイヤのサイドウォールを完全に潰し、ひび割れを発生させてしまいます。ランフラットタイヤで空気が抜け、ランフラット走行でサイドウォールを使用走行したケースとは全く同じです。よって、ノーマルタイヤの方が、ランフラットに比べて、パンク修理による修理可能率が高いとする説は誤りです。
応急パンク修理剤のデメリット
ランフラットからノーマルタイヤへの交換を推奨する個人サイトやショップでは、応急パンク修理剤を積めば問題無いとする記載も見られます。パンク修理剤は、ホイールやタイヤ内面に修理剤が行き渡った後に固着してしまうため、結局タイヤが使いものにならない応急剤です。追加で内面・外面修理も可能ですが、パンク修理剤が固着したものをホイールやタイヤ内面から剥がす手間が発生します。
従来、ノーマルタイヤはスペアタイヤへの交換が妥当であってパンク修理剤は、所詮応急対応に過ぎないのです。5mm以上の大きな穴を応急剤で補修するスペックはありません。
ランフラットタイヤからノーマルタイヤへの履き替えはNG
10年以上前、ランフラットタイヤが高額だった時代には、ノーマルタイヤへの推奨サイトが多かったのですが、そのような記事は激減しました。パンク修理材を積めば万事解決などという、記事は信用できません。BMWの標準モデルに標準装着するランフラットのメリット恩恵を享受することが、オーナーの使命です。
タイヤのパンク修理料金
パンク修理としては、外面修理と内面修理の2パターンあります。
パンク外面修理
外面修理(簡易修理とも呼びます)は、タイヤの接地面のパンク穴をゴム充填剤で外側から注入して修理するものです。
約1500~3000円が平均的な修理代です。外面修理の場合、修理の質が悪いと空気が漏れるケースがあります。
パンク内面修理
内面修理は、タイヤを外し、タイヤ内面を中心として外側の状況を考慮しながら穴を塞ぐため完璧な修理が可能です。
タイヤ脱着料金とタイヤ修理代を合わせて、ランフラットの場合は7000~12000円が平均的な修理代です。(修理料金は目安:ショップ・パンク補修内容により変化)
タイヤメーカーもパンク修理公認
ブリジストン社:ランフラットテクノロジー採用タイヤはパンクしても、修理すれば再び使えるの?
車両オーナーズマニュアル、取扱説明書に、 修理されたタイヤの使用を制限していないこと
(例:一定条件下の走行に限りパンク修理可能)が明記されている場合は修理して使用できる可能性があります。修理可否はカーディーラーまたはブリヂストン推奨のランフラットテクノロジー採用タイヤ取扱店で確認してください。
一方、修理不可と明記されている場合は 速やかに新品タイヤと交換してください。
ランフラットテクノロジー採用タイヤ取扱店
- コクピット
- タイヤ館
- ミスタータイヤマン
ランフラットタイヤのパンク修理(タイヤ館)
ランフラットの内面修理にも完全に対応しています。タイヤ脱着料、パンク内面修理を含め修理代は増えますが、新品タイヤ交換よりは安価に済みます。
ランフラットタイヤのパンク修理(オートバックス)
修理条件をクリアしていることを伝え修理を依頼します。(修理実績例あり)
- ノーマル同様にトレッド面のパンクは修理可能である事。
- ランフラット走行(空気が抜けた状態での走行)をしていない事。
- 外面修理のみを承諾する事。(タイヤ脱着の内面修理はオートバックスでは実施しない)
- 料金:作業工賃込み1か所につき:1500円~(税別)、作業時間15分
ランフラットタイヤのパンク修理(イエローハット)
修理条件をクリアしていることを伝え修理を依頼します。(修理実績例あり)
- ノーマル同様にトレッド面のパンクは修理可能である事。
- ランフラット走行(空気が抜けた状態での走行)をしていない事。
- 外面修理のみを承諾する事。(タイヤ脱着の内面修理はイエローハットでは実施しない)
- 料金:作業工賃込み2千円~(税別)
ランフラットはパンク修理可能のまとめ
BMWは、ランフラットが全車標準装備(Mモデルを除き)となり、エントリーモデルから最上級モデルまで、タイヤにコストを掛けています。
重度のパンクで完全に空気が抜けた状態では、ランフラットは80キロの最高速度で80キロの距離が走れます。これは、メリットであり、再使用不可となる前提ですからデメリットに挙げることはナンセンスなのです。
ノーマルタイヤでは、即走行不能です。
ランフラットを取り巻く最新環境は激変
大手ショップでは、ランフラットタイヤのパック修理を行わないショップは、一切無い状況です。一部、10年以上前の価値観で語る店員もいますので、そのようなショップはパスしましょう。
ブリジストンのメーカーサイトでもQAとしてパンク修理は可能と明言しています。
ノーマルタイヤ推奨派によるマイナス情報
ネット上では、ランフラットパンク修理不可や再使用不可という情報が独り歩きしています。これは、古く誤った情報です。ノーマルタイヤに履き替えた方の誤情報の宣伝です。
パンクしても移動できるランフラットタイヤは修理できずに交換しかないってホント?
パンク修理ができないという話も聞くが……。結論からいうと、ランフラットタイヤは原則としてパンク修理はできない。ただし、「ランフラット走行」をしていないランフラットタイヤならば、普通のタイヤと同じ条件でパンク修理をすることができる。
大手Web誌が書くと、誤解を招くタイトルです。しかし「ただし書き」で補正している点がポイント。パンク修理は普通のタイヤと同じであれば、ランフラットの方がメリットがある結論ですね。
空気圧チェックし、パンク修理可に繋げる
BMWは設計思想として、ランフラットタイヤを標準装備しています。
BMWオーナーのメリットとして、タイヤの持つリスク回避能力を享受することがオーナーの義務なのです。都合の良い独自解釈は止めたいものです。ノーマルタイヤと同様にトレッド面のパンク修理が可能ですので、空気が抜ける前にパンク修理がポイントです。