BMW M1のスペック(諸元)
ボディパネルの多くでFRPを採用
ボディ外板パネルやボディアンダーパネルにFRPを張り、空力とダウンフォースの確保に配慮された設計となっています。
前後ダブルウィッシュボーンのサスを採用
当時のレースカーに採用されているダブルウイッシュボーン型式のサスペンションを採用。
A型アームは、アンダーがロングな設計がされ、コーナリングによるアライメント変化が軽減されています。
M88型の直列6気筒エンジンを搭載
ポール・ロッシュ氏による開発(直4のS14やS70/2 V12エンジンの開発者)
3.0CSi(E9型)に搭載されたM49型エンジン3.0Lを3.5Lに拡大し、ショートストローク化、高回転型(8500回転超)にチューニングしたM88型エンジンへ進化。
M88/1型
- BMWモータースポーツ社製
- エンジン型式:M88/1
- 6連スロットル、クーゲルフィッシャー社製の機械式燃料噴射装置(インジェクター)
- 水冷直列6気筒DOHC
- 総排気量:3453cc
- 最高出力:277ps/6500rpm
- 最大トルク:33.0kgm/5000rpm
- トランスミッション:5速MT(ZF製DS25)
- 潤滑系統:ドライサンプ方式
- 圧縮比:9.0
M88/3型
- 潤滑系統:ウェットサンプ方式
- 燃料噴射:インジェクションは、ボッシュ社のシステムで電子制御
- 最高出力:290ps/6500rpm
ボディサイズ
- ホイールベース:2,600mm
- 全長:4,361 mm
- 全幅:1,824 mm
- 全高:1,140 mm
- 重量:1,300 kg
装備
- 6シリーズ相当の高級装備
- エアコン
- パワーウィンドウ
- ステレオ
- 左ハンドルのみ
- カンパニョーロ製アルミホイール
- フロント:205/55 VR16
- リア:225/55 VR16
- ベンチレーテッドディスク:F300mm、R297mm
動力性能
公称値:最高速度262km/h、0-100km/h加速5.6秒
- 0-100 km/h 6.0 s
- 0-120 km/h 8.3 s
- 0-140 km/h 10.5 s
- 0-160 km/h 13.1 s
- 0-180 km/h 17.5 s
- 0-200 km/h 21.8 s
- 0-1000m:25.4 s
- 最高速度:265km/h
BMW M1の歴史(変遷)
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- 1972年:E26型市販前のコンセプトモデルE25型「BMWターボ」がショーデビュー
- 1976年:BMW M1の開発の方向性を設定。ランボルギーニ社へ製造を委託
- 1977年夏:ランボルギーニによる最初の試作車がテスト走行を実現
- 量産車のBMWと手作りのランボルギーニとは開発スピードが異なり、オイルショックの影響でランボルギーにの経営状況が悪化。予定よりも大幅に開発が遅延した
- BMWはランボルギーニの買収を検討するも、ランボルギーニ配下の業者の反対により、買収計画が中止
- 1978年:ランボルギーニとの提携は解消
- 1978年:BMWのカブリオレ製造を請け負った経験のあるドイツ・シュトゥットガルトのボディ製造会社(コーチビルダー)に製造先を変更
- 1980年末:レースレギュレーションの生産台数400台に達した
- 1981年:1981年以降のグループ4参戦が認可された
1982年以降のFIAの車両規定改正により、グループ4/5が廃止されました。
新カテゴリのグループCが新設され、BMW M1のレース参加の目的も消滅となりました。
当時のポルシェ911やフェラーリ308よりも約2倍となる高価な価格設定により、販売が低迷し、約3年で販売終了となっています。
- 当時の販売価格(基本スペックベース):$115,000
(1978-1981年当時の円ドルレート220円換算で約2530万円) - 1981年:総生産台数456台で生産を終了
(公道走行用400台、スポーツ用56台。1978年-1981年)
生産台数の内訳
1978年7月~1981年7月の3年間に453台という合計値の内訳としては、ボディカラー別の一覧は下記の通り
- 白:206台(競技用43台含む)
- 橙:99台(競技用1台含む)
- 赤:72台(競技用1台含む)
- 青:61台(競技用2台含む)
- 灰:4台
- 黒:2台
- 銀:2台
- プライマーのみ:競技用7台