BMWロゴの意味、ロゴの変遷・歴史や由来を解説します。
BMWロゴ・エンブレムの意味
BMWロゴ・エンブレムの意味と由来
BMWロゴの意味としては「BMWの創業当初より、航空機用エンジンの製造を主としており、回転する飛行機のプロペラに、青空の青と白い雲の色を掛け合わせて作られた」という意味です。
プロペラをベースとしたデザインについては、1929年の広報公式リリース(公式見解)にて記載があります。BMW創立時より、航空機エンジンの製造メーカーから発展した由来と意味でもあります。
ブルーとホワイトの意味
BMWロゴの意味として「ブルー(水色)は青空」、「ホワイト(白)は白い雲」を指し、クロスした十字は航空機のプロペラをデザインで4分割したデザインとなっています。2019年以前のロゴでは黒い外円があり、2019年以降のロゴでは背景色の外円としています。(1929年からの見解)
90年の長きにわたり、プロペラ説が王道であったため、プロペラと「青空のブルーと白い雲」のイメージが一般的にも定着していると考えられます。
一方、ブルーとホワイトは、BMWの故郷であるドイツ・バイエルン州の旗の色をイメージするという説です(2019年の見解)。当時の商法で利用が禁じられていたため、州旗とは逆のパターンとしています。
BMWロゴの特許申請
黒の縁取り、白と水色でクロスした円形デザインが特徴的なBMWロゴです。
1917年10月にロゴマークを帝国特許事務所に登録しています。この時点で正式な記録は残っていません。
1923年に初めて製造した二輪車R32のBMWロゴマーク
RAP MOTOREN WERKE社のロゴ・エンブレム
BMW創立時の前企業である「RAP MOTOREN WERKE(ラップエンジン工業)」のマーク。略称RMWで、航空機や船舶用のエンジン製造メーカーでした。このマークからはプロペラを連想するものは有りません。
バイエルン州の州旗
BMW本社のあるドイツ連保共和国のバイエルン自由州(首都ミュンヘン)の旗デザインです。企業創立時の20世紀初頭では、ドイツ領域内にバイエルン王国(首都ミュンヘン)が存在し、ヴィッテルスバッハ家の国王が統治していました。国旗のカラーは、白と青のカラーがベースとなっています。
プロペラ説確立の背景
BMWマークとバイエルン州の旗との相違点とは
- 菱型(ひしがた)である点。
- わかりずらいが、州旗は「白・青」でマークは「青・白」の順に位置が逆転している点。
これは、当時の州旗が民間企業のコーポレートマークに採用される事を禁止した為です。ドイツの国家主権として地域の旗を用いて、ラウンデル(円を基調としたロゴイメージ)などへの流用を禁止することが商標法にも明記されています。
ニューヨークタイムズのゴシップ記事
巷では、2010年のニューヨークタイムズで掲載されたBMWロゴマークの由来
の記事が掲載されました。単なる新聞のゴシップ記事ですが、この記事が真実であり、その事実(歴史的背景)を知っていることが、ウンチク・物知りであることのように周知するサイトも現れました。BMW本社は、ニュース掲載時、公式見解として認めませんでした。
- ドイツミュンヘンのBMWミュージアムの担当者が得意になって説明する昔話。
- 創立当初、エンジン総合メーカーであり、飛行機の機体(特にプロペラ)とは無関係だった。
ロゴの由来はプロペラが正しい(広報のリリース)
1929年のメーカー広報にて「航空機のプロペラ、白い雲と青空をデザイン」を由来とし、公式記録として残っています。メーカー広報が、企業ロゴマークの成り立ち(由来)をブランドイメージとして新たに整理し、リリースしたものです。
BMW創立から13年しか経過しておらず、当時の広報担当や経営者が、ロゴマークの歴史的背景やBMWの成り立ちを知らないハズはありません。
よって、メーカー広報がロゴマークとしてのブランドイメージを確立させるため、1929年に公式にロゴマークのイメージを整理して発表したのです。
それが、「企業のブランディング、ブランドイメージ」というものです。
あえて言うなら新聞記事の内容は、ブランドイメージの向上に全く寄与しませんし、マイナスイメージなると判断(あえて封印した)したのです。
ローカルなドイツの一つの地域である「バイエルン州の旗」よりも「プロペラと青空」の方が、より洗練されており、ブランドイメージを高められるのは言うまでもありません。ドイツだけに留まらず欧州地域に進出するためには、ローカルな州旗イメージなど不要なのです。
航空機を売り込むためのプロペラ説なのか?
そのような認識は誤りです。ドイツ敗戦により、1922年には航空機の製造を停止されており、プロペライメージが航空機の機体やエンジンに売り込みには全く寄与しないのです。よって、1929年のメーカー広報は、あくまでBMW社のイメージ戦略と捉えるのが妥当です。
1929年の「広報プロペラ説」に根拠は必要なのか?
それが、マーケティングのためであっても、ロゴの歴史として整理し世の中に公開したことが史実なのです。当時の広報がメーカー公式見解として整理したものであり、それが「憶測」による捏造かどうかは、全く意味を持ちません。
メーカーの発表に対して、それが誤報であれば訂正するでしょう。1929年の公開後に訂正しないということは、それが事実であり歴史となるのです。
BMW Japanを含むメーカー公式見解
BMW Japan公式サイトにて、掲載されていた画面ショット
上記が、2017年の「メーカー公式見解」であり、1929年のメーカー広報の公式見解は、現在まで継承されていることがわかります。バイエルン州の旗の説明は一切ありません。
メーカーが歴史を熟知した上での公式見解
メーカーが間違えているわけでも、嘘を広めているわけでもありません。
当然ながら、ニューヨークタイムの記事が出てもメーカーは訂正する必要もありませんし、ゴシップ記事として無視しています。バイエルン州の旗がブランドイメージを高めることには繋がらないからです。当然、ラップ社などという社名など全く意味を持ちません。単なるウンチクを語るのはマニア向けのみで十分です。
ロゴマークとは、メーカーがブランドイメージを確立し、高めるためのものなのです。歴史的背景がどうであろうと、仮に事実であろうと、ブランドイメージに寄与しないのであれば、BMWロゴのイメージアップに繋がらないことは、言うまでもないでしょう。
BMWが当時エンジン主体であろうと、その後の航空機エンジンに関連していることは疑いようのない事実です。それをブランドイメージに高めたとすれば、それがブランドイメージロゴの由来なのです。(写真は1955年製イセッタのBMWロゴ)
公式な由来は「プロペラ説」が妥当
歴史的背景は、RAP社マークとバイエルンの旗を起源は、BMW AGが公式に認めています。(2019)
しかし、1929年のBMW-AG本体がマークの由来を「プロペラ説」が誤りであり「歴史的背景説」が正しいという告知を正式に行ってはいません。
よって、1929年のメーカー広報による「プロペラ説」の一般的な周知度、認識度が高いことは言うまでも有りません。ブランドイメージ向上に寄与しない「歴史的背景説」が採用される事はありません。バイエルン航空機工業(BFW)は、BMW創設前の企業として航空機が密接に関係しており、プロペラの登場有無が、広報のリリースを完全否定するには至らないのです。また、RAP社は、BFW社創立前の先代企業であって、BFW社のロゴには反映されてはいません。
航空機のプロペラ説が、ブランドイメージの向上として、現在に至るまでプラスに作用しているならば、広報のリリースは成功していると言えるでしょう。
それが「ブランドイメージとして確立されたロゴマーク・エンブレムの由来」になります。