BMWのPHV(PHEV)車におけるバッテリー(モーター走行)とエンジン走行のハイブリッド走行での燃費向上、燃費改善の乗り方、秘訣を解説します。
BMWのPHEV車
- 2010年代前半:アクティブハイブリッド車(HV)による市販化
- 2013年:BMW i8において、プラグインハイブリッド車(PHV)を市販化
- 2015年:X5 40e/330eなど、ラインナップを拡大
欧州事情に合ったハイブリッド
トヨタプリウスPHEVよりも早い段階で、プラグインハイブリッド車の市販化を実施しているのがBMWです。
欧州市場では、アウトバーンなどの高速走行シーンが多く、燃費計測のWLTPエクストラハイモード(約131km/h)が含まれます。
この速度域においては、トヨタプリウスなどの国産ハイブリッド車はエンジン走行となり、燃費悪化とパワー不足が顕著になる傾向でした。
BMWとトヨタの提携でもトヨタ製THS2をBMWが採用しなかったのは、上記の理由によるものです。
効率の良いPHEV
走行時のCO2を排出しないのがEV走行です。
しかし、長距離走行や充電インフラに不安が残るのが、現在のBEVを取り巻く環境です。
この良いところ取りしたのが、PHEVとなります。
PHEV車のメリット
世界各国での利用状況は異なるものの、年間走行距離は以下の通りです。
- 日本:4,440km(日本自動車工業会2021)
- 日本:6,791km(ソニー損保2023)
- ドイツ:14,259km
- 米国:約24000km
仮に年間走行距離を「6791km」とすると一日当たり、約18.6kmとなります。
一日分の純EV走行が可能
BMWのPHEV車のバッテリー容量があれば、一日あたりの走行距離分は、全て純EV走行で足りる計算になります。
スポーツモードでのモーターアシスト
エンジンとモーターを組み合わせたスポーツモードでは、0-100km加速6秒台を達成するモデルもあり、モーターアシストによる強力な加速性能に寄与しています。
(例:320iに対する330eの比較)
ゼロ発進時のモーター走行
- ハイブリッド車よりも大きいバッテリーを積んでおり、低速走行時のモーターによるスムーズな静音走行が可能
- 回生ブレーキ時のエネルギーをハイブリッド車よりも多く蓄える事が可能
- 内燃エンジン車よりもハイブリッド走行による燃費向上が可能
PHEV車のデメリット
- バッテリー、モーターによる重量増(エンジン専用車に比べて、200kg増)
- ガソリンタンクが、やや小さくなるモデルもある
- バッテリーを使い切った後は、内燃エンジンによる駆動がメインとなり燃費が悪化する
- 重量増加による運動性能の影響全般
BMW PHEV車の燃費向上の方法とは
BMW PHV車は、中低速域の燃費向上に繋がる繊細な制御を行っていません。
よって、効率的な燃費向上に繋げるには、特性を理解したモードの使い分けが必要となります。
- ELECTRIC:バッテリーによる、純EV走行
- ECO-PRO:効率的なハイブリッド走行
- BATTERY CONTROL:バッテリー充電を優先モード(SAVE battery)
日々、自宅充電を行い純EV走行比率を上げる
ECO-PROモードだけでなく、純EV走行(ELECTRICモード)での日常運用がPHV車最大の利点です。ハイブリッド走行だけでは、PHV車のメリットを生かせず、もったいない使い方です。
30%以上の充電量がある状態であれば、走行モードは「ELECTRICモード」として、「純EV走行」を行うとガソリンの消費量を完全に抑えることができます。
また、せっかくのPHEV車ですから、自宅にプラグ充電設備を設置すること強く推奨します。
日常は10%から80%充電を推奨
自宅充電のスピードは、遅い方がバッテリーに負担が掛かりません。
BMWでは、バッテリーの寿命延長のため、80%充電を推奨しているようです。
車両またはMy BMWアプリで充電目標や充電開始終了時刻を設定
- OS8以降:充電目標の値を80%で設定しましょう。
- OS7以前:充電目標の値を設定することは出来ませんが、充電開始時間・終了時間は設定可能ですので、充電時間所要時間を覚えておけば、充電時間で充電目標をコントロールできるでしょう。
遠出、長距離走行向けに100%満充電で問題なし
100%充電を行っても、バッテリー劣化が極端に進んだという報告もありません。
週一程度の利用であれば、全く問題ありません。
長期間乗らない場合は30〜50%の充電率を維持
過放電はバッテリーの寿命を縮めますので、30〜50%の充電率で自宅充電を実施し、長期保管に備えましょう。(長期旅行などで数週間以上、乗らない場合)
バッテリー残量30%以下でECO-PROに切り替える
PHEV車のバッテリー搭載量や電費は、モデル毎に異なりますので、あくまで参考レベルですが、バッテリー残量が残り30%程度を残した段階で、純EV走行からECO-PROモードによるハイブリッド走行に切り替えます。
このイメージでエンジンをモーターがアシストし、燃費を向上させます。
BATTERY CONTROLモードは一般道で使用しない
エンジン発電による積極的な充電量の増加は、ガソリン消費量が増大し、かなり効率が悪いです。(日産e-Powerのように発電に特化したエンジンでないため)
特に平坦な道や登坂での利用は厳禁です。下り坂のみの利用を推奨します。
さらにPHEV車の燃費向上の秘訣
- 充電量30~100%:ELECTRICモードで走行
- 充電量30%未満:ECO-PROモードで走行
下り坂では「BATTERY CONTROLモード」で積極充電
高速道や山道の下り坂では、バッテリー充電の「BATTERY CONTROLモード」でエンブレを強力に利かせつつ、無駄なガソリン消費を抑え、下り坂の重力を利用した効率的な充電を行えます。
通常、ECO-PROモードから下り坂局面では、「BATTERY CONTROLモード」を押してモードを適宜切り替えましょう。(平たん路、上り坂ではECO-PROモードに戻します)
BMW PHEV車で燃費を向上させる方法:まとめ
- 自宅に充電プラグ設備を設ける
- 日々、自宅充電に努める・習慣化する
- 近距離の移動は、「ELECTRICモード」で純EV車として利用する
- 充電量30%未満で、「ECO-PROモード」に移行
- 高速道や坂道の下りでは、「BATTERY CONTROLモード」で積極充電
近距離移動は「純EV車」、遠距離移動は「ハイブリッド車」として利用可能なBMW PHV車のメリットを最大限に活かし、エコな新しいBMWライフをエンジョイしてください。