BMW水素エンジンの歴史
水素自動車の研究に着手:1978年
BMW 5シリーズ(E12)型をベースに研究開発が行われ、170万kmの走行実績を造り、同社の成功と水素自動車の可能性を立証。
BMW750hL(E38)の試作車:2000年
Expo2000万国博覧会(ドイツのハノーバー)において、
BMW は自動車会社として世界で初めて水素自動車のフリート走行を実施。
水素自動車は実用的テスト条件下で水素駆動の長所を実証。
「BMWクリーンエネルギーワールドツアー2001」の一環で、日本でもデモ走行を実施。
- BMW 750iL(E38)ベース
- 燃料タンク「液化水素燃料タンク140L、ガソリン95L」を搭載
- 水素、ガソリン両用V型12気筒5.4Lエンジン
- 航続距離は350km(水素)
- バイフューエルとして、水素燃料が切れた場合にはガソリン走行も可
- 水素燃料使用時:最高出力204馬力、最高速度は225km/h
- ガソリン使用時:最高出力326馬力
水素エンジン速度記録車H2R:2004年
2004年9月に速度記録挑戦を行い,9つのFIA公認速度記録を達成
- V12 6.0リッターエンジンBMW 760iベース
- バルブトロニックとW-VANOS
- 0-100km加速:6,0sec
- 最高時速:300.175 km/h
BMWハイドロジェン7(E65):2005年
BMWハイドロジェン7とは
2005年から2007年まで製造した水素内燃機関車で、生産限定の水素内燃機関車です。
BMW7シリーズ 760Li(E65)をベース。
水素やガソリンの燃焼も可能に変更され、BMW製の水素利用は、内燃機関のエンジンにおいて、水素を燃料として、燃やす方式です。
- 6.0リッターV12エンジン搭載
- 最高出力;260PS
- 0-100km加速:9.5秒
- 水素燃料タンク:170リットル(700気圧)
- ガソリン燃料タンク:73.8L
- 巡航速度で合計640キロメートル
BMW水素燃料電池車の歴史
トヨタとBMWの提携:2013年
FCV(燃料電池車)における仕組みや特許は、トヨタやホンダといった日本勢が開発・実用化で先行しています。BMWはトヨタと2013年に燃料電池分野などで提携関係を構築してます。
トヨタとBMW提携により、トヨタ技術をベースとした、FCV開発の基礎となっています。
BMW i8 Hydrogen NEXT:2015年
BMW i8ベースの水素燃料電池車。トヨタ自動車の水素スタックを用いて、BMWと共同で開発された「i Hydrogen NEXT」
- 350気圧の水素タンク
- 総システム電力は268bhp
BMWグランツーリスモ(F07)試作車:2015年
2015年に開発中の燃料電池車(FCV)。2017年には日本でも公開。
BMW5シリーズ・グランツーリスモ(F07)をベースとし、ドイツでの実テスト車両になります。
外観は、ほぼノーマルの5シリーズ・グランツーリスモベース
- 内装もベースモデルとほぼ同等の機能を備えます。
- 水素タンク搭載の影響で5人乗りから4人乗りへ変更
- 重量軽減のためルーフなどを軽量なカーボン製へ
- 最高出力150kW/200ps
- 0-100km/h加速が8.4秒
- 最高速度が180km/h
発電に必要なFCスタックは、トヨタ製
BMWとトヨタの提携による技術供与。
EV関連と水素タンクは、BMW製
- 700barのCGH2(圧縮水素)連続航続距離:450km
- 350barのCcH2(極低温圧縮水素)連続航続距離:700km
水素の充填効率により、航続距離が異なる2システムを並行開発中。
BMW iハイドロジェンNEXT(G05):2022年
BMWの第5世代のEVパワートレイン「eDrive」を搭載したX5シリーズ(G05前期型)ベース。
エンジンの代わりにBMW iハイドロジェンNEXTの燃料電池システムを搭載。
燃料電池の下にレイアウトされる電気コンバーターは、電圧レベルを電動パワートレイン、ブレーキエネルギー、燃料電池からのエネルギーによって供給されるバッテリーの両方の電圧レベルに適合させる。
- 燃料電池システム:最大170hpの電気エネルギーを発生
- 電気モーターの最大出力:295kW(401PS)
- 0-100km/h加速:6秒
- 最高速度:185km/h
- 一充填走行距離:504km
- 水素消費率:119km/kg(WLTC)
水素タンク2本を搭載
- 700バールの水素タンク2個が搭載(最大6kgの水素を搭載。水素の充填時間は3~4分)
- トヨタMIRAI」水素タンク3本に対して、2本搭載の性能
iX5ハイドロジェン試作車
このプロジェクトにはドイツ政府が資金を一部拠出している点がポイントで、同社の水素部門を率いるユルゲン・グルドナー副社長は、22年末に100台近くの試作車を製造し、一般に販売されることはないが、米国、日本、欧州、中国、韓国でテストを実施。
2023年、4年間に渡るiX5のテストは終了したとのこと。
BMW『iX5ハイドロジェン』市販車:2023年
- 2022/12/2:燃料電池パワートレインを搭載するSUVについて、ドイツ・ミュンヘン工場で生産開始。2023年春から、世界の一部地域の顧客へデリバリー開始予定。
- 2023/7/13:英国のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023」に出展すると発表
- 2023/7/25:日本における実証実験を2023年末まで行なうと発表。
BMW GROUP TOKYO BAY(東京都江東区青海)でiX5 ハイドロジェンの車両展示を行なうとともに、BMWグループ水素燃料電池テクノロジー・プロジェクト本部長のユルゲン・グルドナー氏、iX5ハイドロジェン・プロジェクト・マネージャーのロバート・ハラス氏を招いてのプレスカンファレンスを開催。 - 2023/11:JMSショーにて、iX5ハイドロジェンを展示。出品車両の外観は、前期型X5(G05)となり、やや古さを隠せない状況でした。
水素燃料電池車の課題・問題点
FCスタックで得られる発電量は125kWに留まります。
搭載するモーター出力の方が大きく、発電力不足になるため、BMW試作車ではバッテリーから電力不足を補うという苦肉の策を実施しています。
搭載する水素タンクとFCスタックの効率にも限界があり、この点が解決しない限りハイパワー車への搭載は厳しいと思われます。