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BMWの水素燃料電池車、水素自動車の歴史と未来

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BMW社の考える水素の未来

2000年代に水素自動車を試みたものの、7シリーズのE65は試験車両に留まりました。
2010年代より、トヨタとの提携により、水素燃料電池車の技術をBMW車へ展開、試作車まで作成済です。しかし、実際の量販は2028年とされ、BEV化の進展比べて、非常に遅い流れです。
この状況から、BMW社は、FCV市販化に対して非常に慎重姿勢であることが見て取れます。むしろ環境団体に向けてのアピールレベルとも言えます。

BEVの課題とFCVの展望

BMWAG水素燃料電池テクノロジー・プロジェクト本部長のユルゲン・グルドナー氏談(2023/7)
今後、BEV(バッテリー電気自動車)が主力になることは間違いないが、充電器のインフラ整備には課題があるとの見解です。この点に異論がある方は少ないでしょう。

  • BEVとFCEVがそれぞれ500万台までのインフラコストではFCEVの方が高い
  • 1000万台になるとFCEVにBEVが追いつき
  • 1500万台では逆転し、それ以上ではBEVの方が高くなくなる。

トヨタMIRAIの販売台数や水素スタンドインフラが、発売後10年を経過後も低迷しています。今後、FCVがBEVを追い越すのは、無謀とも言えるでしょう。

燃料電池を用いて発電する自動車(水素燃料電池車)

FCV(燃料電池車)は、FCVは車の中で発電をしながらモーターを回して走ります。燃料電池車(FCV)の発電装置をスタックと呼びます。FCVは専用のタンクに圧縮した水素を補給します。水素と酸素が化学反応を起こすと、電気と水が発生します。これは理科の時間で習った水の電気分解の逆の化学反応です。ここで生まれた電気はFCVのモーターを駆動させるエネルギー源となり、排出されるのは有害物質を含まない水のみとなります。このようにFCVは走行時においてCO2をはじめとする排出ガスを一切発生させないことから、究極のエコカーであると世界中から注目を集めています。
トヨタ、現代、ホンダ、ゼネラルモーターズ、ダイムラーAGなどが、採用しています。
BMWは、2013年以降、水素燃料電池方式を採用した対応がメインです。

水素燃料電池車のメリット

  • 大気汚染の原因である「二酸化炭素」「窒素酸化物」「一酸化炭素」「浮遊粒子状物質(PM)」「炭化水素」「アルデヒド」「ベンゼル」は排出されません。
  • 化学反応による発電により、ガソリン車よりもエネルギー効率が高い
  • 従来のエンジンを用いないため、EV車の騒音と同等レベル

水素燃料電池車のデメリット

水素スタンドが圧倒的に少なく、トヨタMIRAI二代目を以ってしても普及スピードに大きな課題。
水素スタンドのインフラ整備がEVスタンドに比べて圧倒的に遅れており、車両価格もEV車に比べて高価であり、普及の課題となっています。

BMWでも過去に水素エンジンでの挫折した経験から、水素普及に向けて課題、問題点の認識はあるようです。トラックなどの大型貨物で水素の普及が進めば、インフラやコストの問題を解決できると予想する経済誌もありますが、実際の見通しは厳しいようです。

  • 水素を製造する過程で、大量の電力を使用する点
    そのまま電力を利用するBEVのコストが安い
  • 超高圧700気圧の水素タンクやインフラの寿命が短い点
    (バッテリー寿命や再生コストよりも水素インフラ維持コストの方が高いことが判明)
  • 超高圧700気圧のスタンドインフラ、水素充填時の圧縮・冷却に大量の電力を使用する点
    (その電力だけで300km走行できるだけの電力)
  • 結局、電力をそのまま蓄電し、利用するBEVに対するメリットは充填時間のみ。
    (基本、家充電前提のBEVと比べることが意味が無い)