BMW専門のモーターサービスを提供するBMW M社について、創生から最新のサービス提供情報までを解説します。
BMW M社の概要
BMWモータースポーツ社の設立
BMWモータースポーツ社(BMW Motorsport GmbH)は、BMW AGの100%出資子会社として1972年5月1日に設立。ドイツ・ミュンヘンに本社、および工場がある。当初、8人の従業員によりスタート。
レース最初のプロジェクト
1988年には従業員400人に成長。レースの最初のプロジェクトとして「BMW 3.0 CSL」がリリースされました。
一般向け市販車M1のデビュー
高性能スポーツ車としてレースシーンでの成功の後、M社は、一般向けに市販車を導入。
1978年のパリのモーターショーで、Mエンブレムを装着したBMW M1がデビュー。当時のスーパーカーとしてのスタイリング・性能を誇りました。
高性能なMモデル投入で、より身近に
M車の方向を変えたのは1979年の5シリーズの高性能バージョンとしてM535iから始まり、
このモデルから市販モデルの高性能スポーツ車やMテクニックなどのライトチューンの車を手がけるようになりました。またドイツのニュルブルクリンクサーキットにテストセンターを所有し、研究開発のテスト走行により、熟成が図られています。
現在は、Mシリーズとして標準モデルにおける高性能トップモデルやオプションの企画・開発を行うBMWの子会社となり社名も「BMW M GmbH」が正式名称となります。
生産としては特別仕様の「インディビデュアル」のみとなり、モータースポーツやトレーニングスクールの運営も行っています。Mモデルは、高回転型のNAエンジンを特徴としていたが、最新モデルではダウンサイジングしたターボモデルにより一層の高出力化と低燃費化を図っているのは時代の流れでもあります。
Mタウン(仮想シティ)
Mエンブレム
BMWのマーク3色とは
BMW MOTORSPORTのMの頭文字をデザインしたエンブレムマークとなっています。
左からブルー(青)、パープル(紫)、レッド(赤)のラインの横にMの文字で構成されたマークは、BMWとしてのモータースポーツ用途に向けた高性能モデルとしてのエンブレムをアピールしています。左の青は、Mモデルのイメージカラーでもあるエストリルブルーのボディカラーにもマッチしています。これが「BMW Mロゴ」の由来となります。
この三色のストライプが、BMWを愛するレーシング・ファンの情熱を駆り立ててきました。
Mパフォーマンスのモデル・パーツ
2012年より、M社内にMパフォーマンス自動車部門が設立され、Mモデルのモータスポーツのコンセプトを受け継いだチューニングモデルをデビューさせている。グレード名の先頭にMを付けたモデルが対象です。
ノーマルモデルやMスポーツのアフターパーツとして、Mモータースポーツ・チューニングイメージを継承した「M performance」の純正アクセサリーパーツがラインナップされている。
モータースポーツ活動
1970年代の市販ツーリングカーレース市場において勝てる車が必要となりBMWモータースポーツを新たに設立し、市販車をベースに特殊なチューニングを施したMモデルを市販すると共に、レースシーンにフィードバックしていく。高性能自動車のイメージ戦略から、モータースポーツの活動も積極的である。635CSIから派生したM1、M3(E30)のグループAレースなど、ツーリングレースカーのシーンでも活躍した。現在でも2リッターセダンで積極的に活躍している。
F1でも、1982年から直列4気筒ターボエンジンをブラバムチームに供給。その後のターボブームに火が付くと共に、ネルソン・ピケにより勝利へ導いた。予選では1000~1400馬力という強烈なパワーはターボの威力である。2000年からは、ウイリアムズチームにV10エンジンを供給。2006年からはザウバーチームを買収し、セミワークスチームとして本腰を入れてF1を戦い2009年に撤退。
2012年にDTM(ドイツ・ツーリングカー・マスターズ)へM3DTMコンセプトで復帰。
M635CSi (1985..1989)
6シリーズ(E24/1976~)は、今見ても非常に美しいクーペであり、以降のクーペスタイリングに影響を与えた。1985年登場のM1エンジン24バルブの直列6気筒をベースに286psエンジンを搭載したモデルがM635CSiとなる。今ではおなじみとなったMスポーツの元祖的な市販モデルである。
M1 (1978..1981)
グループ4/5レース(シルエットフォーミュラ:市販車似のボディを乗せたレースカー)
を開発するべく生まれた。24バルブの直列6気筒3.5リッターエンジンをミッドシップに搭載。
277ps、0-100km5.6秒、最高速261kmと、当時のスーパーカーのカタログスペックには及ばないが実測ベースでは肉薄していた。ジウジアーロのデザインは今でも美しい。
あのランボルギーニとの合作にて生産を開始したが、バウアー社に生産を移管していく。
派手はスーパーカーの影に隠れて目立たない存在だが、実力はピカイチのスーパーカーである。
ザウバーF1
プライベートチームのザウバーをBMWが買収し、メーカー支援となるBMWザウバーチームとしてコンストラクターズポイントを競っている。ドライバーは、ドイツ人のニック・ハイドフェルドとポーランド人のロバート・クビサを主としていた。2009年11月にF1からの撤退を発表。
BMW M社の歴史一覧(歴代モデル)
BMWの歴史
1972年
1972年5月1日にBMWモータースポーツ社設立。
ヨッヘン・ニーアパッシュ(元ポルシェワークドライバー)が中心となり、有名なドライバーを集めたチームを率いていった。
- クリス・エイモン
- トワン・ヘゼマンス
- ハンス=ヨアヒム・スタック
- ディーター・クエスター
- ラリー・ドライバー
- ビョルン・ワルデガルド
- アヒム・ヴァルムボルト
1972年
BMW Turboのプロトタイプカーがデビュー。
1972年
BMWモータースポーツ社(BMW Motorsport GmbH)ドイツのミュンヘンに設立。
1973年
2002tiiをベースとした燃料噴射装置の2リッター直列4気筒SOHCエンジンに世界初のターボチャージャーを備えた2002ターボがデビュー。
- ニュルブルクリンクのレースシーンにて優勝を飾った。
- ヨーロッパF2選手権でタイトル獲得
- ヨーロッパ・ツーリングカー選手権においてタイトルを獲得
3.0CSL登場
E9型の3.0CSLがデビュー。アルミ製のボンネットやトランクで軽量化し直列6気筒エンジンを搭載した美しいクーペ。数々のレースシーンを席巻。BMW M車の市販モデルの起源となります。
1974年
BMWのロゴをベースとしたモータースポーツ社のエンブレムが商標登録される。
1978年
M1がデビュー(市販車)。3.5リッター直列6気筒DOHCエンジンをミッドシップに搭載したスーパーカー。Mエンブレムを装着した最初の車両。モータースポーツ参戦用のFIAグループ4のホモロゲーション取得のため、生産台数400台クリアする453台を生産。
名車のカーデザインを手がけたイタリア人デザイナーのジウジアーロによるデザイン。
当初、BMWをベースとし、ランボルギーニがボディとフロア・パネルを提供する予定だったが、ランボルギーニの財政問題により、作業は大幅遅延。結果、イタリアモデナでの作業分担で製造が行われた。組み立て後の車両をシュトゥットガルトへ輸送し、バウア社によってすべての機械部品が組み込まれた。レーシングドライバー養成のために「ドライバートレーニング」が開始。
「BMW Driving Experience」と名称を変え、ドライバーの運転技術向上に努めている。
1979年
F1の前座レースであるProcarシリーズにM1ベースのレース車両が参戦。ネルソンピケやニキラウダなどのF1ドライバーを育てた。モータースポーツ社の責任者ヨッヘン・ニーアパッシュは、F1の責任者バーニー・エクレストンおよびマックス・モズレーと協力し、1979/80年シーズンのヨーロッパF1グランプリの前座レースてProCarシリーズを誕生させた。
Group4カテゴリのProCarレーシング・カー(277psから470psへチューニング)でニキ・ラウダは3勝。米国では、IMSA GTOクラスの「レッド・ロブスター」チームのM1が連勝した。
- M535iがデビュー。初代5シリーズがベース。
1980年
1981年にかけてM社のガルヒング工場でわずか1410台が手作業で製造され、初のサルーン型Mシリーズとなった。
1982年
エンジン供給により、BMW製ターボエンジンを初搭載したF1(ブラバムチーム)がデビュー
1983年
- F1においてブラバムチーム(BT52/BT52B)のネルソン・ピケがドライバーズチャンピオン(3勝)を獲得。
- ヨーロッパツーリングカー選手権(ETC)にて、BMW635CSi参戦開始。グループA規定に沿って、車両重量1200kg(300kg削減)へ軽量化。最高出力285psへアップ。
1984年
E28型の(初代M5)デビュー。
1984年
E24型の(635CSi)デビュー初代M6デビュー。北米と日本での排気ガス規制対応モデル(1986-1989)デビュー。
欧州ではM635CSiのネーミング継続。
1986年
- 635CSiをドライブした長坂尚樹がJTCドライバー部門で総合チャンピオン
- 製造者部門でもBMWがクラスチャンピオン
1986年
- ETCレースでは、635CSiがチャンピオン獲得。以降のグループAはE30へ世代交代
- E30型の(初代M3)デビュー。グループAのホモロゲーションモデル(モータースポーツ参戦ベース)のM3。M用3.5L直6ベースの2.3L直4エンジン。レースとラリーで活躍し、エボリューションとして進化し、2.5リッターエンジン、大径ホイール、強化ブレーキなどが追加され、M3は表彰台の頂点に立ち続けたのである。1991年までに、2度のDTM選手権と2度の欧州ツーリングカー選手権を制覇
公式ビデオ(M3 クーペ)
1987年
ヨーロッパツーリングカー選手権で、M3が優勝。ドライバーはヴィンフリート・ヴォクト。
世界ツーリングカー選手権で、M3が優勝。ドライバーはロベルト・ラヴァーリア。
M3の生産台数5000台達成。以降、世界のツーリングカーシーンでM3が活躍する。
1988年
M社の従業員数が400名超となる。E34型の(2代目M5 リムジン)デビュー。335psの3.8リッターエンジンと、生産最終年の1995年には6速マニュアルトランスミッションがM5に搭載。E34ツーリングM5は、BMW Mが手作業で組み立てる最後のモデルであり、これ以降のモデルはBMWの主要な生産ラインで製造されることになる
1988年
E30型の(M3 カブリオレ)デビュー
1989年
DTMタイトル獲得。M3のドライバーはロベルト・ラヴァーリア。
1992年
E36型の(2代目M3 クーペ)デビュー。後期モデルでは、初代SMGのシーケンシャルギアが登場。
公式ビデオ(E36 M3)
1992年
E34型の(M5 ツーリング)デビュー
1992年
E31型の(850CSi)デビュー
1993年
BMWモータースポーツ社から、BMW M社(BMW Gmbh)へ社名変更。Mエンブレムが社名に採用される。社名変更では、モータースポーツ部門がレースの枠をはるかに超えて成長したためです。
1994年
E36型の(M3 カブリオレ・セダン)デビュー
1997年
Z3の(Mロードスター)デビュー。
1998年
Z3の(初代Mクーペ)デビュー。クーペのボディはねじれ剛性を高め、ストリートでは絶対的な存在であった。そのルックスもまた、年月を経るにつれて確実に円熟味を増している。E46 M3の改良型エンジンが搭載されたのも魅力。
1998年
E39型の(3代目M5 リムジン)デビュー。ヒットモデルとして2万台以上が生産されました。
2000年
E46型の(3代目M3 クーペ)デビュー。SMG2として改良型のシーケンシャルギアが選べました。6MTも設定。ウイリアムズF1チームにてBMWエンジン搭載。
公式ビデオ(E46 M3)
2001年
E46型の(M3 カブリオレ・GTR/レース専用)デビュー
2001年
M3がアメリカン・ル・マン・シリーズ(American Le Mans Series)耐久レールに参戦。ドライバーはヨルグ・ミューラー。
2003年
E46型の(M3 CSL クーペ)デビュー
2004年
24時間ニュルブルクリンク耐久レースでM3 GTRが1,2フィニッシュ。M3-GTRとしては2年連続タイトル。
2005年
E60型の(M5 リムジン)デビュー。M5にとって、初のV10かつ最後の自然吸気エンジンです。
2005年
E63型の(M6 クーペ)デビュー
2006年
E64型の(M6 カブリオレ)デビュー
2006年
E85 E86型の(Z4 Mロードスター・クーペ)デビュー
2007年
E90型の(M3 クーペ・セダン)デビュー。M3にとって、初のV8かつ最後の自然吸気エンジンです。
公式ビデオ(E92 M3クーペ)
E60型の(M5 ツーリング)デビュー:1,000台生産
2008年
E90型の(M3 カブリオレ)デビュー
2009年
- E70 E71型の(初代X5M X6M)デビュー、末尾M付きのSUVモデルが登場
- E90型の(M3 GTS)デビュー
2010年
E82型の(1シリーズ Mクーペ)デビュー。自然吸気からターボエンジンへの切り替え。直6ターボは、335psを発揮。
2011年
F10型の(M5 リムジン)デビュー
公式ビデオ(M5 セダン)
フリードリヒ・ニュチケが社長に就任
2012年
- F12 F13型の(M6クーペ・カブリオレ)デビュー
- F21型の(M135i)デビュー。
- E70 E71型の(X5M X6M)リニューアル。
- F06型の(初代M6グランクーペ)デビュー。
Mオートモビル内にMパフォーマンスオートモビルが設立され、Mモデルのコンセプトを受け継いだチューニングモデルをデビューさせている。
M135iやM50d/M550dなど、グレード名にMを付けたモデルが対象である。
モータースポーツ・チューニングイメージを継承した「M performance」の純正アクセサリーパーツがラインナップされている。
2013年
M3とM4のコンセプトモデルがショーデビュー
F80型の(M3セダン:3シリーズ)
F82型の(M4クーペ:4シリーズ)
- 世界新車販売台数3万1281台。前年比+14%
- M車:Mパフォーマンス車=55:45
- Mパフォーマンス車:M135i/M50d/M550d
- Mパフォーマンス第1弾。1シリーズM135iがデビュー
2014年
- M5の30周年記念モデル「30Jahre M5」が600psにチューン。300台限定
- 富士スピードウェイのオフィシャルカーとしてM5が採用。
- Mパフォーマンス第2弾。2シリーズM235i(F22)がデビュー
2015年
- 2014 DTMドライバーズチャンピオンを記念したM4 DTM Champion Edition.登場。
- X5に2代目のX5Mが登場。
- X6に2代目のX6Mが登場。
2016年
- Mパフォーマンス第3弾のX4 M40i(F26)がデビュー
- 2シリーズにMモデル初登場のM2がデビュー。M4に比べて軽いボディで370psの設定
- 1シリーズ(F20)にM140i、2シリーズ(F22)にM240iクーペがデビュー。
- 7シリーズ(G11)にM760LixDriveデビュー
2017年
- 5シリーズにM5(F90)がデビュー
2018年
- M8 GTEが、FIA WEC(世界耐久選手権)でデビュー
LM-GTEクラスにエントリーとなり、排気量4.0リットル(3981cc)のV型8気筒ガソリンターボで最大出力は500hp以上を発生
2019年
- X2シリーズにM35i(F39)がデビュー
- X3シリーズにX3M(F97)がデビュー
- X4シリーズにX4M(F98)がデビュー
- 2シリーズM2(F87)において、M2CS「Competition Sport(コンペティション・スポーツ)」のサーキット用途も考慮したモデルが登場
- MモデルおよびMパフォーマンスの合計総販売台数は、13万5826台。前年比32.2%増
2020年
- M3セダン(G80)がデビュー
- M4クーペ(G82)がデビュー
- X5シリーズX5M(F95)がデビュー
- X6シリーズX6M(F96)がデビュー
- 12月4日:シュニッツァー・モータースポーツ、ベルギーのRBM(レーシング・バート・マンペイ)との契約終了。57年間のチームのファクトリーに幕
2021年
- 4月1日:BMW M GmbH社とBMWモータースポーツ部門との合併を締結
- ベースモデルのLCIによる改定。X3 M40i:883万円、X3 M40d:902万円、X3 Mコンペティション:1311万円。X4 M40i:920万円、X4 Mコンペティション:1338万円
- i4 M50(G26)として数字の前にMが付くモデルが登場。電動化の新時代Mパフォーマンスモデル
2022年
- BMW M社の設立50周年(2022年5月24日)を記念し「BMWモータースポーツエンブレム」を「M」シリーズおよび「M Sport Package」に設定
クラシックなBMWモータースポーツのエンブレムが、車両のボンネット、トランク、ホイールセンターキャップに装着されます。